隼人vsアーネル【後編】#01
「まじか… 化物かよ…」
魔力量だけで言えば竜族であるライカに匹敵するだろう。
肉眼でも認識できる量の魔力で全身を包み、その一部は尾の様に2つの蛇の姿を象る。
その魔力は同時に身体強化を行い、踏み込みだけで地面を抉り、先ほどよりも速度を上げた攻撃を仕掛ける。
「だが、それでも当たらない」
身体強化がされたアーネルの攻撃を避けた隼人に対して不敵な笑みを浮かべる。
その直後、隼人の首筋に痛みが走る。
痛みの正体は尾のように分かれた蛇の姿をした魔力が噛み付いていたのだ。
咄嗟に切断を行い距離を取るが、視界が揺れ目眩が隼人を襲う。
「どうです? 効くでしょう?」
噛まれた首を押さえながら出血はないことを確認する。
切断された魔力の蛇は再生しており、再び狙いを定めている。
「厄介だな…」
アーネルの仕掛ける攻撃と、法則性のない蛇の攻撃避けつつ切断を行う。
吸収する魔力は多くないものの確実に減らしていく。
「その状態で一体いつまでもちますか?」
「それはお前もだろう?」
攻防は続き決定打を与えることができないまま、アーネルは黒剣による魔力の消耗、隼人は毒により体力の消耗をしていく。
お互いに限界は近い。
「これだけ私の毒を受けて動けるのは貴方が初めてですよ。(とはいえ、もう限界が近いはず。私の魔力も思った以上に大きく削られてしまいました。まだ動けるうちにトドメを刺さなければ)」
「大したこねぇな。(とか強がってはいるが、足から力が抜けるのを何度も感じる。体も熱いし限界が近い。それに比べてまだ余裕があるのか?)」
間合いを取り離れた二人は、乱れた呼吸を整えながら次の一手を考える。
決定打を決めあぐねており、このまま更に長引けば先に倒れるのは隼人の方だろう。
「ふぅ…。(次の仕掛けが最後だと思ったほうがいいな)」
「これで最後にしましょう」




