強大な魔法陣#02
『本来の魔法は陣を描いて使用しておった。陣を通して使うことで無駄な魔力消費をなくし、且つ精度の高い魔法を使うことが出来るのじゃ。今では陣を利用した手法は戦闘において効率が悪いという理由で、利用するものも減り、自身の魔力をそのまま放出することで使用している。だから複雑な魔法は使われておらん。もちろん封印魔法や大規模魔法、複雑な魔法においては陣を利用することもあるが、ほぼ陣に関しては使われておらん。魔法の種類によって陣の形を変えないといけないもの一つの理由じゃろうな』
以前、ベルザに教えてもらいライカの魔力を抑えるために使用した封印術を思い出す。
『俺がやっている魔力の使い方はどっちだ?』
『当てはめるのであれば前者じゃな。ただ魔法陣を使っておらぬから、かなり特殊な使い方じゃ。それに魔法陣には必ずルールが存在しておる。魔法陣の形は様々じゃが、必ず核と呼ばれるものが存在しておる』
『核…』
隼人は自分が知ってる魔法陣を思い浮かべながらクィルの話を聞く。
『魔法陣は1つの大円の中に、発動させたい魔法の術式を書き込んでいく。その上で魔法を安定させるために小円を描くのじゃが、それが核になる。魔法の内容によってはその核に当たる部分を、複数の術者を置くこともあるが、これはかなり大規模な魔法の場合のみに用いられる方法じゃ』
『サラマンダの時に、侵入者がいないようにドボル大森林に施されていた複合されていたやつか』
『複合魔法じゃな? まさにそれは術者を核に置き換えておったはずじゃ。そして核は必ず大円の中央に1つ存在しておる。その核さえ見つけることができれば、そこから分岐しておる核を見つけることは可能じゃ。それはまた今度教えるとして、魔法陣を用いた魔法は、核を壊せばその魔法は不安定になり、本来の力を発揮すること出来なくなる』
『もし、そういったことがあれば核を探せってことか』
『そのとおりじゃな。そう考えると、ハヤトの魔法の使い方は魔法陣を用いたものとは異なるとも言えるが、根底には無意識に魔法陣を用いた魔法のように、術式を構築しておるのじゃろうな。他には魔術の詠唱も消費を抑える一つの方法で、杖などの媒介を通した魔法は消費を抑えながらも、威力を増すこともできる。魔法と一言にまとめても様々ということじゃ。さて、休憩は終わりにして続きを始めるとしようかの』
魔法についての知識は教えてもらっているが、存在するはずの核がない場合の対処は教えてもらっていない。
「この魔法陣を止めないと、この毒の雨は止まらないぞ」
「隼人!」
「!?」
魔法陣の核に気を取られた一瞬を狙い、懐に潜り込んだアーネルは殴打する。
咄嗟に腕で守り、攻撃を防ぐことはできたが勢いよく後方へ押し出される。
「確実だと思ったのですが、反応がいいですね。しかし、私の攻撃に触れてしまったことは間違いだったのでは?」
防いだ際に攻撃を受けた左腕が、紫色に変色している。
ただそれは打撲によるものではない。
「ちっ、毒か」
竜眼で見たアーネルの両手は紫色の魔力に包まれていた。
腕に走る激痛を抑えながら黒剣を抜く。
「魔術師なのにインファイターとは皮肉だな」
「その考えは古いので捨てたほうがいいのでは? 魔術師でも近接で闘うことぐらいします。むしろ私はそちらが専門です」
「まぁ、接近戦なら都合がいい」
「なにやら不思議な力を持つ剣のようですが、果たしてその状態でまともに戦えますか? 既に左手は痺れてろくに動かせないのではないですか?」
アーネルの言うとおり、隼人の左手は痛みと痺れがあるが動かせないわけではない。




