謎の少女#01
「(無理をするのは、一度が限界だろう…)」
満身創痍のカイオルに対して、ゲルドラは攻撃を行う。
夜叉と位置を入れ替えることにより、攻撃を避けることはできても反撃に転じることが出来ない。
そして夜叉もカイオルの指示なしには攻撃に転じることが出来ない。
「くっ、思った以上に、辛いな…」
痛みを堪えながらゲルドラとの間合いを詰めていくが、そのたびに攻撃を仕掛けられ避ける攻防が行われる。
何度か繰り返し、やっとの思いで狙いの間合いに入り込む。
「くぅぁ、はぁ… さぁ、私の一撃を堪えることが出来ればお前の勝ちだ」
正面に立ち居合いの構えをとると、夜叉もその後ろに姿を現す。
「二天一流:鬼天殺」
ゲルドラはそれを見て口を開き喰らい付き、激しく地面にぶつかり抉り取る。
そしてほぼ変わらないタイミングで、カイオルと夜叉の太刀筋に刃が白く光る。
一瞬のうちにゲルドラの背後へ移動するカイオル。
「ぐぅ、ぶぅはぁ…っ!」
激しく血を吐くカイオルに対し、ゲルドラは首をゆっくり持ち上げる。
外傷もなく余裕を持ってカイオルへ向きなおし舌を動かし、狙いを定める。
「はぁはぁ… がふっ…」
両膝を突き、すでに向き合う気力もなく、意識も遠のき始めている。
既に弱った強敵の後ろ姿に向けて口を開け襲いかかるが、喰らう寸前で止められる。
「斬られたことにも気づいておらぬのか」
「だれ、だ…」
薄れいく意識の中で背後に立つ姿を目に映す。
突如現れた、長い髪を揺らし、白色の衣服を身に纏い、膝を突いたカイオルと変わらぬ背丈の少女。
ゲルドラの口を片手で止め、その首を切り離す。
カイオルと夜叉の攻撃は確実にゲルドラの首を捉えていたようだ。
その切れ口は綺麗で、切断後も面がくっつきその姿を維持していた。
「ほれ、既にお主は斬られておる。お主の負けじゃ」
少女の体よりも大きいゲルドラの頭を容易く投げ捨てる。
数回地面を跳ね壁にぶつかる。
「さて、お主まだ生きておるか?」
「はぁ…、はぁ…、はぁ…」
既に視界はボヤけ意識を保つことすら限界に近い。




