正体#01
「卑怯だとは言わせませませんよ。これで2対2です」
落下した結晶から現れたのはグランドスネークではなく、それよりも巨大な体躯をもつ蛇だった。
全身は深い緑色をしており、首は3つに分かれ、それぞれの頭には対になった角のようなものが生えている。
時々見える舌は紫色をしており、動く尾がぶつかり周りの建物を破壊する。
「さっきのとは比じゃないくらいデカイぞ…」
「まさかこいつは…」
驚く隼人に対して、フードの男はこの蛇を知っているようだ。
「孤絶の大蛇ゲルドラ。あいつらを片付けなさい」
ゲルドラが隼人たちに攻撃を仕掛ける。
3つの頭はそれぞれが意思を持ち動いており、追撃を行いながら攻撃が行われる。
その攻撃を避けるたびに、周辺へ被害が発生する。
「あんなの喰らったら一発で終わりだぞ!」
「ここは私がどうにかする。お前はあの女を頼む」
「どうにかするって、一人じゃ無理があるだろ」
「あの女、何かを企んでいる」
ゲルドラの影に隠れ何かを行っているアーネル。
しかし、何をしているのかはわからない。
「それに私は一人ではない」
「何言ってんだ? どう見たって一人だろ」
フードの男は再び黒剣を抜くと、ゲルドラへ向かって振る。
すると1つの首に斬撃が走る。
出血をさせることはできていないものの、その強靭な鱗に傷をつけた。
「どうなってんだ…」
男はフードを脱ぎその顔を見せる。
その顔には見覚えがある。
「なるほど、確かにお前なら一人じゃないな。本当に頼んでいいんだな?」
「お前に心配をされるほど弱くはない」
「それもそうだな。それじゃ頼んだぜ、カイオル」
フードの男は死んだとされていたカイオルだった。




