紫毒姫#02
「それが本当の姿ってわけか」
「ふふっ」
不敵な笑みを浮かべた後に、こちらに向かって指を鳴らす。
音とお供に隼人と男が居た場所が爆発し、辺りを紫の霧が包む。
「出てきなさい。これでやられるような実力ではないでしょう」
霧を払うように風が巻き起こり、二人は姿を現す。
隼人は竜眼を発動させていた。
「まぁ、毒で間違いないだろうな。魔力の色も紫なら、親切に霧も紫だしな」
「わかっていれば何も問題はない」
「さぁ、紫毒姫と呼ばれる、私の毒を存分に召し上がれ」
隼人は右手に魔力で剣を生成しながら、駆け出し距離を詰めていく
それに合わせるようにフードの男も剣を抜き駆け出す。
間合いに入った瞬間に隼人は剣を振るが、アーネルはそれを軽く避ける。
そこにタイミングを合わせて、フードの男が剣を振るがそれも避ける。
「その程度で私は倒せませんよ」
アーネルは二人に向かって指をパチンと鳴らす。
音ともに隼人の眼には紫の色が広がる。
「やば…っ!」
瞬く隙もなく二人は毒霧に包まれる。
「そこで大人しく苦しんでいてください。私はまだ仕事が残っています」
その場を去ろうとしたアーネルだが、二人を取り込んだ毒霧が吸い込まれるように消え去る。
姿を現した隼人の手には黒剣が握られており、フードの男も2本目の剣が抜かれていた。
その剣は隼人の黒剣よりも深い漆黒色を帯びているが、明らかに黒剣で間違いない。
「あんたも黒剣か」
「魔力で作られたものはこの剣ですべて対処ができる。それにしても3本目か…」
フードの男は黒剣を鞘に納める。
「お前も俺たちを甘く見ないほうがいいぞ」
「どうやらその剣は厄介な物みたいですね」
アーネルは先ほどとは異なる結晶を取り出すと、血を付け二人へ向けて放り投げる。




