圧倒的な力#02
剣を鞘に収め、再び追い始めようとした時だった。
「なんだこれ」
「グランドスネークだね」
「こいつ蛇なのか?」
そんな緊張感のない会話が聞こえてくる。
騒音に導かれた隼人が到着した。
「これあんたがやったのか?」
存在に気付いた隼人が尋ねる。
しかし答えは返ってこない。
「(見た感じ外傷がないってことは、この蛇の首を一撃か。敵にはしたくない相手だな)」
「隼人、向こうに反応があるよ。恐らく魔術師だと思う」
「わかった」
その場から離れると一緒に男も付いてくる。
「隼人、付いてくるよ」
「不思議なやつだけど、悪い奴じゃないだろ」
相も変わらず無言だった男が話しかける。
「あの女を追いかけているのか?」
「あんた喋れたんだな。あの女っての誰なのかは知らないけど、この状況下であれば恐らく同一人物だ」
「なぜ追いかける?」
「知ったからには放っておくわけには行かないってのが理由だけど、この国を助けたいって思ったからだな」
「この国に助けるに相当する何か恩義があるのか? それかそれによって何か得られるものがあるのか?」
「恩義もなければ、そんなことも考えちゃいねぇよ」
男は再び黙り、何かを考えている様子だ。
そしてしばらくして再び口を開く。
「わかった。ところで蛇は好きか?」
「蛇? なんだ突然。別に嫌いじゃねぇけど、さっきみたいなデカいのは流石に引くわ」
「そうか。それは申し訳ないが、相手をしてやってくれるか?」
「隼人! 魔力反応だよ!」
閻狐が声を上げて忠告をする。
その直後、前方にグランドスネークが出現する。




