圧倒的な力#01
「今、あっちから魔力反応があったよ!」
「街の外れか」
指示された方向へ進路を変える。
「ただ、気をつけたほうがいいかも」
「どういうことだ?」
「引っかかった魔力は魔術師のものじゃないよ。実際、魔術師の魔力は追えていないから。いま探知した魔力は恐らく、何かしらの意図があって発したものだと思う」
「罠の可能性があるってことか」
「可能性としてだけどね」
「例え罠だったとしても、行くしかないだろうな」
速度を上げ、細心の注意を払いながら向かう。
その頃、逃げるアーネルの後を男は追っていた。
「(追いつくわけでもなく、離されるわけでもなく。あくまでも追跡だけを目的とした行動ですね。少なくとも敵であることは間違いないのですが、目的が読めません)」
追跡を巻くために道を変えながら進むが、一向に引き離せない。
「(見失うことなく付いてくるということは、魔力探知ができる人物ということでしょうか。そうなると足止めをするしかないですが、まだアレを使うわけにもいきません)」
アーネルは自分の親指の爪で人差し指を切りつけ、僅かな出血をさせると懐から取り出した小さな結晶に血を付け後方へ放る。
「(とりあえずこれで少しでも足止めを図りましょう)」
地面に落ちるとそこから一匹の蛇が出現する。
茶色の体表にその姿は建物の2階ほどの大きさを有し、敵意を剥き出し威嚇をしている。
「グランドスネークか」
追跡者は足を止め対峙する。
それを尻目に確認をし、アーネルは距離を離していく。
「どのみち放置はできないから相手をしてあげるが、遊んであげる暇はないぞ」
2本のうち1本の剣を抜くとゆっくりと間合いを詰める。
グランドスネークは口を開き、寝そべる形で地面を抉り喰らう。
しかし狙った場所には男はおらず、グランドスネークの顔の横を歩く。
「異国ではお前たちのような蛇を蟒蛇と呼ぶそうだ。物を大量に飲み込み、放置をすれば被害は大きくなる。ここに現れたのはお前の意思では無いのだろうが、暴れ回ることは容認できない」
頭の位置を過ぎたあたりでグランドスネークは頭を持ち上げ、再び狙いを定める。
男が立ち止まったのを確認し、再び攻撃を仕掛けようとするが、それは叶わず頭は体から切り離されて地面に落下し、追うように体も倒れこむ。
「せめて苦しみは少なく逝くといい」
いつ斬られたのかすらもわからないままグランドスネークは絶命する。




