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魔王で始まる異世界生活  作者: 野薔薇 咲
Act.07~死の国、モンス王国と鬼神カイオル~
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交戦#02

 「毒か」


 それを躱していくが、余裕を持つには広さが足りない。


 狭い中で的確に放たれたものを、被弾することなく避けていくには、多少無理な動きも強いられる。


 だからそこ、そこに一瞬の隙が生まれる。


「くぅっ!」


 肋の痛みで動きが鈍くなった瞬間を見逃すことなく、アーネルは急接近したのちに、首にかかる鍵を奪い取り蹴り飛ばす。


 アンベールは勢いよく扉に背中をぶつける。


「さて、目的も果たしたことですし、貴方に騒がれると面倒なので、さよならをしましょう」


 ゆっくり距離を詰め、動けないアンベールの頭上に右手をかざす。


 魔力展開を行い、確実に殺すことができる攻撃を放つ。


 しかしその瞬間、アーネルは手首が切り落とされる感覚に襲われる。


 咄嗟に身を引き距離をとり、自身の手を確認するが切断はされていない。


 だが、切り落とされた感覚だけが残っている。


「(今のは…?)」


「おい」


 アンベールの声に反応する。


「お前、修理費出せるのか」


「一体何を言っているんですか?」


 ただ、言葉はアーネルに向けられたものではなかった。


「命の恩人に金銭の要求か?」


「助けろなんて言っていない」


 アンベールの居ない扉が切断され、声の主が姿を現す。


「だが、一応礼は言っておく」


「素直じゃねぇな」


 黒剣を抜いた状態で部屋に入ってくる隼人。


「初めましてだな、魔術師さん」


「どうしてここに」


「そりゃ色々理由はあるが、言わなくてもわかるだろ?」


「(隠し扉には厄介な封印術が施されていたので、解術するためにはこの鍵が必要なのは間違いないでしょう。ですが、こうなってしまったら、騒ぎになるのも止められない。とはいえここで相手にするのは…)」


「逃げ道はないぞ。大人しく捕まってもらおうか」


「(あー。 …面倒くさい面倒くさい、面倒くさい。いっそうこの城自体を吹き飛ばして、後から回収することができれば一番楽なのですが、目の前にいるあの男がそれを許すはずもない)」


 アーネルは小さく息を吐き言葉を続ける。


「捕まると思います?」


 瞬時に踵を返し窓へ向かって走り出す。


 魔法を窓へぶつけ破壊すると、そのまま飛び出していく。


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