決着#01
「クレムはなんだかんだ言ってたけど、結構いい剣使ってるじゃないか」
剣を押し返されたアンベールは少し距離をとる。
「さて、終わらせるか。雷脚」
雷を使った身体強化。
ライカから見て学び、オリジナルへと昇華させた隼人の魔力コントロールの一つ。
それは以前とは比べられないほどに洗練されていた。
これまで無駄に放出されていた魔力も、安定し定着している。
「なんだそれは…」
「構えろよ? じゃないと死ぬぞ」
瞬きもする暇もなく。
声を発する時間すらもなく。
誰もその姿を追うこともできず。
気付けばアンベールの姿はなく、大きな衝撃と衝突音が響き渡る。
場内には隼人だけの姿が残り、その視線の先には砂煙とともに外壁が崩れ、倒れこんでいるアンベールの姿があった。
「…あいつ、殺してねぇよな?」
一切何が起こったのかは理解できていないが、目の前に広がる光景から推測されるに試合は終わっている。
勝者が隼人で敗者がアンベール。
それを見たアンジェリークは急いで場内へ向かい走る。
「アンベール!!」
しばらくして姿を現したアンジェリークは駆け寄る。
アンベールの体を揺すりながら声をかけ続ける。
「隼人、殺してはないんだよな?」
場内へ降りてきたクレムは声をかける。
「殺してないけど、ただすぐに動ける状態ではないかもな。思い切り鞘でぶん殴ったし」
借りていた剣を返しながらアンベールへ向かって歩き出す。
アンベールが身に着けている鎧は、攻撃を受けた部分が完全に破壊されている。
ただ大きな外傷は見当たらない。




