隼人vsアンベール【後編】#02
「…カイオルさんからお前たちのことは聞いていた。サラマンダと合わせて、怪しい人物がいるということ。そして実際サラマンダはお前たちの手で逃がされたということも聞いた」
「(こいつにだけは事実を話したってわけか。それだけ信頼されているってことか)」
「お前たちがあの日、あの場所でカイオルさんに何をしたのかは知らないが、お前たちのことは詮索しないように言われた。だがそれからしばらくしてこの国に異変が起こり、カイオルさんは戻らなくなってしまった」
「それは何が原因だとみた?」
「お前たち魔族の仕業しかない。だから俺はカイオルさんの任を引き継いだ」
「それで犯人探しをしているなかで、俺を城で見つけて襲い掛かったってわけか? 本来の目的すら忘れて、自分の思うままに行動し続けたと。国王からの命も蔑ろにしながら」
「命はあくまでも調査だ。俺は何も背いていない。俺の目的と利害が一致しているだけだ」
アンベールは剣を引き抜き構える。
「話は終わりだ。腰の剣を抜いて構えろ」
「本当にお前は何も見えてないんだな。いまの姿をカイオルが見たら悲しむだろうよ」
「いいからさっさと構えろ。ここで終わらせる」
隼人は大きくため息をつく。
「あいにくお前に使ってやる剣は持ち歩いていない。おーい、クレム!」
見物をしているクレムに声をかける。
「なんだ?」
「わるいけど、お前の剣を貸してくれ」
「別にいいけどよぉ。お前も腰に下げてるだろ? それに俺の剣は騎士たちが使っているのとは違って、強度も重みも劣っているぞ」
「十分だ」
クレムは持っている剣を場内の隼人へ向かって投げ入れる。
それを受け取り鞘から抜く。
「参謀役を務めていたクレムさんも落ちこぼれたな。こんな魔族と仲良くするなんて」
「目の前の事しか見えていないお前には言われたくないだろうな」
隼人が構える前に一気に距離を詰めて切りかかるアンベール。
だがそれは容易く剣で受け止められる。




