隼人vsアンベール【後編】#01
「全く見えません…」
「騎士長の居合いが鋭い矛だとすれば、あいつの居合いは強固な盾みたいなもんだからな。さぁ、どうするハヤト」
「(切断された位置を見ると範囲は60センチ程度か。ただ恐ろしいぐらいに洗練された動きだな。無駄がなくそれでいて速度も申し分ない。ただ、見えないわけじゃない)」
隼人は短くなった槍をさらに魔力で半分に切断をし、連続で投擲を行いそのままアンベールに向かっていく。
「武器を捨てて突っ込むなんて、何考えてんだあいつは!」
アンベールは一つ目を先ほど同様切断をしたのちに、続けて二つ目の切断を行う。
そして隼人が範囲内に入った瞬間に再度切断をする。
だがすでにその場には隼人の姿はなく、アンベールの後方に立っていた。
「いま、あいつ消えたか?」
「そう見えました。ですがいつの間にか離れた場所にいます」
闘技場が少しざわつき、見物をしていた騎士の一人があることに気付く。
「おい、あいつが持ってるのって」
指をさされる隼人の手に持たれていたのは、先ほどまでアンベールが持っていた剣だった。
それに気付いた他の騎士たちはアンベールを注意してみるが、アンベールは剣を所持していなかった。
「確かにすごい技だとは思うが、まだまだ甘いな」
「奪剣…」
「ほらよ」
奪い取った剣を放り投げ、宙を数回転したのちにアンベールの目の前に刺さる。
「お前の居合いの弱点は連撃だ。複数を同時に対処するなら問題はないのだろうが、複数を順番にとなると剣速が衰える。だから俺に剣を取られる」
「お前の目的はなんだ」
「それを言うなら、なんで俺を襲った?」
隼人は城内での出来事を問う。
あれは確実な敵意と何かの確証をもって仕掛けた攻撃だった。




