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魔王で始まる異世界生活  作者: 野薔薇 咲
Act.07~死の国、モンス王国と鬼神カイオル~
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アンベール・ノーリッジ#02

 アンジェリークの後を付いていくと中庭に出た。


 小さい庭園のようになっており、色とりどりの花が植えられており、そのすべてが丁寧に手入れされている。


 その一角にあるベンチに腰を下ろす。


「まずは何から話をしましょう」


「あの人ってのは誰のことだ?」


「ご存知とは思いますが、カイオル・ベイグラス。カイオル騎士長の事です。アンベールはカイオル直下の部下でした」


「(カイオルのね…)」


 アンジェリークはそのまま話を続ける。


 カイオルはサラマンダの一件が落ち着いたあと、アンジェリークの護衛専属へとなったようだ。


「アンベールはサラマンダ討伐にも同行できるほどの実力を持っていて、誰よりもカイオルのことを尊敬し慕っていました。カイオルも彼に騎士としての心得や、剣技など教えることが出来ることは教えているようでした。だからこそ今回の件を聞いた時には、誰よりもショックを受けていましたが、カイオルが行っていた任を誰に任せるのか悩んでいる時に、名乗り出したのは彼です」


「カイオルの影を追い続けてるんだろうな」


「えぇ、カイオルは本当に素晴らしい人でしたから」


 そう笑みを溢しながら話すアンジェリークには、それ以上の想いを感じ取ることができた。


「ただ、その時からアンベールは少し変わってしまいました。任を引き継いだのも何か別の目的のためのように感じるのです」


「(おおよそカイオルを殺した犯人探しってところだろうか? クレムの言う通りであれば、持ち込まれた防具を見ることで違和感を覚えるはずだが、それがないってことは余程心に余裕がなかったか、アンベールが未熟なのか。どちらにせよ、国王が意図した任をこなしているようには思えないな)」


「ハヤトさん」


 突然改まって隼人の名前を呼ぶ。


 そして願いを伝えてくる。


「アンベールの目を覚ましてもらうことはできますか?」


「目を覚ます?」


「勝手な願いだということは分かっています。ですが、あのままでは本当の彼がどこかへ消えてしまいそうで」


「そういわれても、大人しく話聞くタイプとは思えないぞ。それこそ一発ぶん殴って大人しくさせてから、話を聞かせるとかしないと」


「それでも構いません」


 物騒な提案に乗るアンジェリークの様子を見るに、それだけの思いがあることは理解することが出来る。


 隼人は聞こえるようにため息をつく。


「わかったよ。そしたら闘技場を借りることはできるか? あそこに今から2時間後に来るように伝えて欲しい」


「わかりました。お父様にも私から許可を取り、必ず連れていきます」


 アンジェリークは立ち上がりその場を立ち去る隼人の後ろ姿に、静かに頭を下げた。


 時間を同じくしてアンベールの部屋の扉を叩く音が響く。


 静かに扉を開くとそこにはアーネルの姿があった。


「君は?」


「イサンダより派遣された魔術師セラ様の弟子で、アーネルと申します」


「魔術師が何の用」


「ある男のことで少しお話をしたいのですが、中へいいでしょうか?」


 眉間にしわを寄せ、表情を少し曇らせる。


 アーネルは一切表情を変えることなく、返事を待っている。


 アンベールは静かに部屋へ案内し、誰にも聞かれることがない会話が行われた。


 時間が経ち2時間後。


 闘技場にはアンジェリークと数名の騎士がおり、フィールドの中央には隼人が、訓練用の木製の槍を持って立っている。


 少ししてアンベールがそこへ姿を現す。

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