公女様#01
「俺は一日何をして過ごせばいいんだ?」
原因に関する可能性や、聞き込みは昨日の時点で終わらせてしまっている。
犯人を捜すことは現状できない中、ライカの帰りを待つほかすることは特にないのである。
そんなことを呟いていると部屋がノックされる。
返事をすると一人の女性が部屋を訪ねてきた。
「えっと、どちら様で?」
「この度はお世話になりました」
その一言を聞いて思い出す。
その時はしっかり顔を見ることはできなかったが間違いない。
「公女様?」
「はい」
笑顔で返事をされる。
寝込んでいた時はわからなかったが、非常に優しそうな人柄を感じることが出来る。
「お近くいいでしょうか?」
「良いも何も、こっちは借りている側だから」
そう返事をするとそのまま部屋の中まで入ってくる。
部屋付きのメイドが近くの椅子へ誘導し、その椅子へ腰を掛ける。
公女はこちらに笑みを浮かべながら見つめてくる。
特に会話もなく妙な空気が流れる。
「えっと、体の調子はどう?」
空気に押され、いつもの調子ではなくぎこちない会話をする。
「おかげさまで良くなりました。それでもまだ本調子ではないですけど」
少しバツが悪そうにしながらも、会話や本人の様子からすれば回復しているのは間違いない。
その様子を見ることが出来て隼人も少し安心をする。
「少し視させてもらうよ」
左目の力を使い公女の様子を視る。
通常でも斑点が引いているのは分かっている。
当初は衣類からはみ出して確認ができていたものが、今では見ることが出来ない。
実際に左目を通して視てもその結果に変わりはなく、発せられている魔力も小さくなっている。
「その眼、あの女の子と同じですね」
「あぁ、これは特殊な眼でな」
「綺麗な眼ですね」
「そういってもらえると、ライカも喜ぶよ」
竜族の眼は魔力が強く宿っており、その力だけで相手を倒すこともできる。
ただ、隼人の眼にはそれほどまでの力は宿っていない。




