三人目の四天王#02
「毒や薬物に精通していて、生体実験を繰り返しているマッドサイエンティストがいるの」
「それはライカが言っていた心当たりのある人物か?」
「そうだね。そうなんだけど勘違いはしてほしくない。私はそいつのことを知っているだけで、関係はないから」
「それで誰なんだ」
「蛇族のデューヌだよ」
「デューヌって四天王か?」
ライカの口から発せられた名前は四天王の一人の名前だった。
確かにそれであればライカが知っているのも頷ける。
「あいつなら羽うさぎに何かを施して、今回のような状況を引き起こすのは造作もないことだと思う」
「なるほどな。実際に俺が街で会った発症していない人たちは、羽うさぎを一切口にしていない。その逆で発症をしてしまっている人は、口をそろえて食べたと言っていた。こんな偶然があるとも思えない」
「ただそうなると厄介だよ。あいつの居場所を割り出すなんて簡単じゃない。それにここまで力を蓄えられていたら、力ずくで止めるにもただじゃ済まない」
二人は少し沈黙する。
それを見ていた国王はすこし曇った表情で口を開く。
「やはりお前たちを軽視することはできぬようだ」
部屋の警護に当たっている騎士たちが、腰にある剣に手を掛け体勢をとる。
警戒と疑惑を抱かれているのは間違いない。
心当たりがある人物で魔王軍の四天王の名前が出てくれば、疑わないわけはないだろう。
「…穏やかじゃないな」
「恩人に敵意を向けておることは謝らせてもらう。だが、お前たちの素性を調べさせてもらったが、今の話を合わせると疑わざるを得ん」
「……」
取り囲まれてはいるものの、二人からは余裕が感じられる。
特段、危惧する様子もない。
「お前たちは以前、この国でギルド登録を行いサラマンダ討伐へ参加していたな? 報告の際に行方不明になっている三名のうち、二人がお主たちに酷似しておる」
「(やはり行方不明という内容で処理されてるのか)」
「サラマンダは森から飛び去ったという目撃情報がある。国民たちが安心するためにも討伐されたとは言われておるが、ギルドへの報告は撃退という内容で上がっておる。そして逃がすための手引きをしている者がいるという情報も事前に入っておった。そしてそこのライカという娘が、竜族であり魔王軍の四天王であることも調べは付いておる。その口から他の四天王の名前が出てきておる状況をどう心安く考えることができようか」
サラマンダ討伐に際して殺さないという発言をしていたのが、どこかで耳に入っていたらしい。
それを軽んじることなく国王への報告がされていたということだ。
そうなるとこの城に仕える騎士の誰かだろう。
いや、誰だったのかは予想は付く。
「ハヤト、お主の情報は何一つ得られなかったが、こうして四天王の一人と共にしているということは、関りのある人物ということだろう? 今一度、改めて問うが、お前たちの目的はなんだ?」
「どうするのハヤト」
「どうせ最後には話すつもりだったんだ。それが今になったって話だから、問題はないさ。それより、もう一杯もらえるか?」
空いたグラスを見せながらウェイターに申し出ると、変わらぬ様子で注いでくれる。




