ひと時の安息
「どれぐらいで効果が出るのだ?」
「個人差はあるけど、ちょっと待って」
ライカは国王に気付かれないように竜眼を使い娘を視る。
「眼が…」
娘だけはそれに気付き言葉を発しかけたが、人差し指を口元に当てるライカの姿を見て止めた。
「うん、効果は出ているみたいだから大丈夫。ただ、結構症状が進行していたみたいだし、1日は安静にしてたほうがいいよ」
「本当かぁ!」
国王はその場で喜びと驚きの声を上げる。
娘の手を握り喜びを伝えていたが、それに反して娘は落ち着いた様子だ。
ひとしきり喜びを示したのちに、隼人達に向かい立つ。
「すまない、まだお前たちの名前を聞いていなかったな」
「俺は隼人、こっちがライカ。で、どうだ?」
「お前たちを信用するには十分だ」
「それじゃ本題に入らせてもらいたいんだが、この国の症状を訴えている人たちのリストが欲し
い」
「本当に国を助けてくれるというのか?」
「だから最初っからそう言ってただろ?」
少し考える様子を見せた国王は話を続ける。
「何が望みだ?」
「え?」
突然の質問に困惑する。
「この国に関係のないお前たちが、救う理由が見当たらないのだ。となれば、何か目的があるのだろう」
「目的がないと言えば嘘になるが、今はそれよりもこっちが優先だ」
「…わかった。リストを準備させよう。ただ時間をもらえるか? リストを集めるのに今すぐは難しい。明日までには準備をさせよう」
「それじゃ明日改めるか」
「待て待て。娘を救った恩人に礼もなく去ってもらうわけにはいかぬ。宿泊先は決まっておるのか?」
「いや、まだだけど」
「それであれば」
そう言って案内されたのは一つの客室だった。
先ほどまでの部屋には劣るが、それでも非常に豪華である。
ベッドはセミダブルほどの広さの物が2つ置いてあり、椅子やソファーなども置かれている。
テーブルの上には盛り付けられたフルーツが置かれている。
その部屋に隼人達は呆気にとられる。
「ここを使ってもらって構わぬ。湯浴みに関しては浴場を利用してくれ。もし何か申し付けがあれば、このメイドに伝えてもらえれば手配をしよう」
「いいのか?」
「気にすることはない。では、リストが揃い次第声を掛けさせてもらう」
そういうと国王はその場を後にした。




