視える者#01
「うん、やっぱりそうだ。ハヤト視て」
「見るって言っても、さっき目の前でじっくり見ただろ」
「違うよ。視るんだよ」
そういうと自身の竜眼を指差しながら、隼人にも同様に視ることを催促する。
隼人は左目に宿っている竜眼を発動させ、おっさんを物陰から視る。
すると先ほど紫の斑点が確認された場所から少量の魔力反応を確認することができた。
「なんだあれ」
「あの斑点は病気じゃないよ。魔力を使って人体を衰弱させてる、薬が効かないぶん病気より厄介だけどね。恐らくあの斑点は人間の生命力を吸収して、術者に送っているんじゃないかな」
「なんだってそんなこと」
「それはわからないけど、これじゃ医者が見つけることが出来ないもの納得だね。期間もかなり長いし死者も出ている話だったから、術者には相当の生命力が送られているはずだよ」
「でも、魔力感知ならこの国の魔術師達でもできるだろ? 複合魔法を扱える複数の中級魔術師がいるはずだから、わかるんじゃないのか?」
純粋な疑問をライカに投げかける。
顔を引っ込めてその疑問に答え始める。
「もしハヤトが何も知らない、あの人みたいな状態で同じ症状が出たらどうする?」
「そりゃ医者に診てもらうだろうな」
「それで医者から原因は見つかりませんっていわれたらどうする?」
「ん~、とりあえず様子を見るかな」
「そういうことだよ」
疑問符を浮かべながらライカの言葉に耳を傾ける。
「病気だと思ったものが病気じゃない。でも徐々に同じ症状を訴える人間が増えて、病気として扱うしかなくなるけど原因は不明。医者はありとあらゆる検査をしてみるけど、やっぱり原因はわからない。事の重大さを受けて王が動くとしても、さらに知識を持った専門の医者を派遣するしかない。だって病気なんだから、と。それでどうやって魔術師に行きつくの?」
「…確かにそうだな」
「あと、例えば仮に可能性として魔術師に辿り着いたとしても、あれは魔力感知じゃ無理だよ。竜族の眼、竜眼だからこそ視ることができるんだから。感知するものじゃないんだよ」
「それじゃどうやっても…」
「そういうことだね」
話に納得をしながらも、内容に悲観する。
この場にライカが居たからこそ、それ気付くことが出来た。
そうでなければこの国はただ滅んでいくだけなのだから。




