intro
今回はとても短いですが最後までお付き合いください。
落ちる。
動き始めた身体は、物理法則にしたがいゆっくりと等加速度運動を始める。すでに頭は思考を放棄していて、自分が先ほどまでいた場所との距離を測ることすらもできない。周りの景色が徐々に色を失い、暗闇へと吸い込まれる。居場所の分からない、上下左右が分からない恐怖に支配されようやく、自分の身体が落下しているのだと理解する。
人間とは本来無力なものであり、無力がために知恵に頼り、機械に頼り、技術に頼り強大な自然に立ち向かってきた。だが有史、翼を手にしたイカロス然り、パラシュートを発明したフランツ・ライフェルト然り、空に挑んだ野心家達には無残な死を遂げるのが常であった。
高いところから落ち、死ぬ。誰もが知ることであるが、物理法則を超えることは不可能なのだろう。
ふとあの日のことを思い出す。不器用な笑顔を浮かべた君を、星を探していた君を。君はあのときなんて言っていたのだっけ。人は死ぬとどこへ行くんだっけ。この世の果てには何があったんだっけ。そんなことを考えながら、僕は静かに目を閉じる。
ぬるま湯に浸かっているような奇妙な浮遊感に、自分の意識が少しずつ薄れていくのを感じる。動き出した歯車は残酷にも止まることがない。走馬燈のようなものを見る暇もなく、時計の針に揺蕩った意識はゆっくりと深い闇へと消えていった。
ここまで読んでくれたあなたに謝辞を。
天才と凡人の物語と言うことで、最後どんな形で物語を終わらせたいかというのはもう考えてありますが、人間関係特有の葛藤や価値観の違いをうまく言葉にできればと考えています。
今回はモノローグというかイントロダクションというか、短くて意味の分かりづらい内容となってしまいましたが、今後文量を増やして更新頻度もキープしていこうと思います。
では今回はここら辺で筆を置かせていただきます。次話でまた。