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久しぶりの投稿です。

読んでいただけると嬉しいです。

俺が通う西原高校は、成績が悪くても過去に事件を起こした訳あり生徒でも、名前さえ書けば入学出来る。この高校を創立した人によると、頭が悪いなら努力をさせるきっかけを作ればいい。訳ありなら、真の道を歩くために教育ができる場所を作ればいい。そう言って出来たのが、この高校だ。正直、不良の人達が沢山いて、校舎も落書きが沢山してあり、通いやすい高校とは言えない。

俺、赤坂裕一郎あかさかゆういちろうは、訳ありではないが頭がかなり悪いため、この学校を選んだ。最初は、ガラの悪そうな人達ばかりで、ケンカなんてしたことのなく弱々しい俺は、不安だったけれど、中には気持ちの優しい奴もいて、少しずつ慣れていった。

そして、入学してから半年。俺はある女子生徒と出会った。


「赤坂!三浦!サッカーやろうぜ!あ、バスケもありだな!」


「いや、バトミントンやりたいわー」


昼ご飯を食べ終わったら、俺は友達の三浦拓海みうらたくみと、近藤走馬こんどうそうまと遊ぶのが日課になっていた。


「ごめん!今日、プリント集めて、職員室に行かないといけないからパス!」


「まじか!真面目だな〜お人好しめ!俺らも手伝うぞ?」


「いや、そんなに大変なことじゃないから俺だけで平気だよ。2人は思いっきり遊んできなよ」


友達の優しい気持ちだけもらった俺は、クラスのプリントを集めて職員室へ足を運ぶ。その途中、怒鳴り声が廊下を響かせてきた。


「関係ないやつが、出てくるんじゃねぇ!!」



ケンカなんて毎日のようにあるから大分慣れては来たけど、巻き込まれたくはないなぁ。


「…まじか…」


そのケンカは、俺が通りたい通路で行われていた。


「はぁー…」


ため息をつき、廊下の角に小さく体育座りをする。なるべくこういったものには関わりたくない。こそっと曲がり角から様子を見ると、しばらくおさまりそうにない。困った…ここを通らないと職員室には行けない…。ど、どうすべきなんだ…正直、通りたくない。絶対、巻き込まれる。俺が、頭を悩ましていると怒鳴り声は、さらに大きくなっていった。もう一度、覗きこむと、ごっつい体をした男子生徒と、華奢な女子生徒が向かいあっている。近くには、怪我をしたのか顔を抑えて倒れている男子生徒がいた。


「はっ!何回でも言ってやる!こんなケンカも出来ない奴なんてクズで人間じゃねぇ!生きている意味なんてないんだ!そんな奴、自殺でも何でもすればいい!死ねばいいんだ!」


「っ!!」


女子生徒の右手は、瞬きをしてしまえば見失ってしまうほど速く、そして力強く、男子生徒の顔を思いっきり平手打ちした。


パンっ!!。一瞬、その音だけが響き、他には何の音も感じなかった。


「痛いですか?その痛みは時間をおけば、消えます。ですが、貴方が言った言葉は一生、彼の傷になり、癒えることはないんですよ」


「っ!このっ!!」


「殴りたいなら殴ればいいでしょう。私は逃げも隠れもしません。私は間違ったことを言っていませんから!」


その姿に目を離せなかった。巻き込まれたくないと小さくなっている俺とは間逆で、何て強くて、勇ましく、そして美しいのだろう。

何だろう。胸がドキドキする。


「あぁ、そうか!だったら遠慮なくっ!!」


「っ!危なっ!!」


男子生徒が女子生徒に拳を向けた時、俺の体は勝手に動いていた。

女子生徒と男子生徒の間を入った瞬間、強い衝撃と痛みが顔にぶち当たり、空中には赤い液体と透明の液体が飛んでいるのがスローモーションで見えた。


「ぐふっ!!」


そのまま、冷たい廊下に倒れこむと、女子生徒の足元が見える。あぁ、もう少し目線が上にいけば、スカートの中がみえたのかな何て馬鹿なことを考えたまま、俺は意識を失った。


それからどのくらいの時間が経ったのか分からない。


「…ん…」


意識を取り戻した俺は、ゆっくりと瞼をあける。教室とは少し違う柄の天井。アルコール消毒の匂い。少し硬めのベッド。仕切られたカーテンに、肩まである黒髪の女子生徒…。ん?女子生徒?


「あ、意識が戻ったんですね。良かったです」


「…君は、さっきの…」


そこにいたのは、つい先ほど廊下で言い争っていた女子生徒だった。肩までの黒髪にキリッとした目つき。膝まであるスカートで、指定のリボンもちゃんとしていて、この学校では珍しく真面目な格好をしている。真面目ちゃんか。


「先ほどは、ありがとうございました。私は1年2組の斎藤夢香さいとうゆめかと言います。顔の怪我は、大丈夫ですか?赤坂さん」


「?何で、俺の苗字?」


というか、同学年だったんだ。それにさん付けで敬語って真面目ちゃんか。


「?同学年の方は全員、覚えているので」


あぁ、やっぱり真面目ちゃんだ。てかすごいな俺なんて同じクラスの人すら全員、覚えてないのに。記憶力が良いのか?入学する学校を間違えたのでは?


「そう、なんだ。あ、もしかしてここに運んでくれたのって、斎藤さん?」


「あ、はい。意識がなかったので、お姫様抱っこで」


「そっか、ありがとう。お姫様抱っこで…えっ!??」


お姫様抱っこぉぉ!?え?斎藤さんって、記憶力が良いだけじゃなくて筋肉もあるの?普通、男をお姫様抱っこなんて、出来ないのでは!?


「だ、大丈夫?腕とか痛めてない??」


「はい。筋トレを毎日、やっているので問題ないです」


「そ、そっか、なら良かった」



出会いは、決してかっこいいものではなかった。殴られ、意識を飛び、女子にお姫様抱っこしてもらって保健室で初会話。これが俺たちの出会いになったんだ。

読んでいただき、ありがとうございます!

次の話も、読んで頂けると嬉しいです。

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