ヘビ編 第1階層
脱サラをして冒険者となった主人公 江崎 拳
ギフト 「露出」スキルを持っている。ほぼ全裸で冒険に出かけることで、仲間も出来ず孤独に冒険をし続ける強靭な体と偶に傷つくちょっと繊細な精神を持ち合わせだ男。
研修から今まででも数々の強敵を物理的に粉砕してきた。
お金のため、美麗ちゃんのため、ミレイちゃんの父親からの依頼でダンジョン攻略に挑む。
舘さんからの一件以降数日休んだ後、早速新しいダンジョンへ赴いた。
依頼もあって、善は急げという事で指定された場所に向かったのだが、到着したのは小ぢんまりしたお寺だった。
小ぢんまりしたお寺だが、受付があり、名前を言うと奥へ通された。
前に舘さんから受け取った書類と身分証明書を渡す。
「ご本人様と確認いたしましたので、説明会議室へ移動してください。」
「最終確認の為、江崎さんこちらにサインと印鑑をお願い致します。」
受付で最終確認も含め書類にサインをする。
契約書の内容は、
・ダンジョン攻略の基準はボスの撃破
・怪我・死亡の責任は自己責任
・ダンジョン内での冒険者の共闘の自由
・その他注意事項
さらっとサインをして受付の人に返す。
「はい、これで良いか確認お願いします。」
「署名と印鑑の確認いたしました。魔石やアイテムは我々経由でギルドにて鑑定します。特にこれと言って詳細は説明はいたしませんがお気をつけてください。」
神妙な顔になる受付の人、なんか問題でもあったのだろうか・・・。
「何か問題でも起こっているのでしょうか?」
気になり受付の人に聞いていみる。
「いえ、あまり公には言えませんが既に参加された方の中で数名の方が行方不明となっておりましてあまりお勧めは出来ない状況です・・・。」
「そうでしたか・・・・。すいませんお手間を取らせました。」
じゃあ、辞めます。なんて言える訳もなく、重たい空気のまま俺は更衣室に向かう。
さて、今回の防具は普通なのが良いな・・・。
出てこい普通なの、普通なもの・・・。
取り出して手に持った瞬間に分かった、今回も黒か。
まだ、希望はある。
少しの希望を持って袋を広げる!
カラスの頭のようなものがそこにはあった。
なぜだ・・・。
なぜ、俺の防具のメインはマスクなんだ・・・。
いつものように黒のパンツにブーツに手袋も入っていた。
それらを装備する。心なしか前よりも着心地が良いような気がした。
最後にマスクを被る。
これ、どう見てもペスト医師が被ってるやつだろうな。漫画とかで出てくるやつだ。しかもちょっと中二病みたいで痛いやつだ・・・。
鏡で自分の恰好見たパンイチにカラス頭だ。もはや変態というより危険人物だ。
俺自身こんな見た目の奴と遭遇したら身の危険を感じるだろう。
俺は冒険者なのか?ただのコスプレイヤーなのだろうか、自分でも何をしているのかわからなくなってきた。
すこしモヤモヤしていると ひらり、と2枚の紙が落ちる。
請求書と書いてあった。
金額を見たらめまいがした。
ケタが・・・桁がおかしいんじゃないのか?ボッタくりじゃないのか!?
このマスクだけで一千万円するとかおかしいだろ!?
手が震えている。クーリングオフできないかな。でもこのダンジョンの階層は状態異常系のモンスターが多いとか書いてあって、それ専用の防具らしいしな・・・。
もう1枚の紙を見る。
ムトウさんからの手紙だった。
江崎殿
この前のダンジョン攻略お疲れ様。
早速本題に入って申し訳ないが、お前の持ってきた魔石が全部で一千万円になった。
でだ、お前の配当金がその半分で五百万円を振り込んどいた。
ただ、防具で一千万円引いといたから、よろしく。
これからも頑張って稼いでくれ(笑)。
武藤より
追伸
残高はほぼ 0 だけど借金生活にならなくてよかったな。
く・・・、クソーーーー。
手紙を破り捨て、やけくそにマスクを被る。
あれ、意外と着心地が良いな。空気も吸いやすい。というかいい匂いもする。
これが一千万円の防具の性能か・・・。
防具を確かめつつ。心を落ち着かせること数分やっとゲートに向かう。
足取りが重い、もう今日は帰りたくなった・・・。というか新しいアパートを探さないといけない。ただ、今回の防具で俺の懐は閑古鳥が鳴いている。この依頼が終わるまでは漫喫で過ごさなくてはいけないぐらい厳しい。
早く稼がないと、俺の生活の為に・・・。
ゲートを潜り、ダンジョン内部へ入る。
うす暗い洞窟のような場所。通路は幅10m、高さ5mぐらいか、そこまで窮屈な印象は受けない。ただ、防具のおかげか視界はそこそこ良好だ。
視界同様にこれからのダンジョン攻略も良好だと信じて一歩を踏み出した。
新編始まりましたが、これからも読んでもらえればと思います。
また、感想・ご意見ありがとうございます。励みにこれからもコツコツ書いていきます。




