イノシシ編 閑話その8 ミレイ2
私はあの人(江崎さん)を見てから、一人でいる冒険者を見かけたら鑑定スキルで探すことが日課になった。
1人で冒険をする人はほとんどいないので直ぐに見つかると思ったのだけれど、一週間以上経っても見つからなかった。
どんな些細な情報も欲しくて、お父様の病院でお手伝いをすることにした。
冒険者の対応の際は、あの人の目撃情報をそれとなく聞いたりして情報を集めた。
冒険者になったおかげで回復スキルで医療行為をすることになった。病院で冒険者の対応と重傷な怪我の治療を行う。職業「聖母」のおかげか私以上の回復魔法を使える人は極わずかと聞いている。
現代の医療では考えられないぐらい速度で回復し、傷口がキレイに無くなる。
私のお陰で助かった命があると実感すると嬉かった。
充実していた日々を過ごしていたが、あの人に関しては大した情報はなかったのだけれども・・・。
少し諦めていたそんなある日のダンジョンであの人と出会った。
その時、私たちはゴブリンに囲まれていた。
いつもはホーンラビットというの生えたウサギを倒していたのだけれど、少し背伸びをしてゴブリンを倒そうという事で進んだ矢先の事だった。
私たちは考えが甘かった。
ゴブリンは弱いと思っていた。
たしかに一個体としてはかなり弱い。体も小さいし力もさほどない。
でも、数が多いと意味が変わってくる。
最初のころは数体だけで簡単に倒せていた。
そろそろ帰ろうと思っていた矢先に単独だと思っていたゴブリンを倒したら、ぞろぞろと周りからゴブリンが出てきた。
隠れていたのだろうか、気が付いたころにはすっかり囲まれてしまった。
アツコとケイは一生懸命戦っていたのだけれど、ユウはゴブリンの数で驚いて動揺してしまい魔法が打てなくなった。フラフラとして一人だけ離れてしまい、案の定怪我を負ってしまった。
傷は大して大きくは無いけど身動きがとれなくなってしまった。
早くユウに回復魔法を掛けたくても、邪魔されてそれどころじゃない。
どうしたら・・・、アツコもケイの二人も顔に疲れが出始めている。
二人には体力回復の魔法をかけても、回復よりも消費の方が多いようで効果が薄い。
そんな時、あの人は現れた。
アツコとケイは新手のモンスターかと思ったらいいけど、前に見たことがあるのにあの人がモンスターでは無いと理解するのは戦闘が終わってからだったけど・・・。
颯爽と現れて一撃でゴブリンを粉砕していく。
圧倒的な力だった。ゴブリンが攻撃しようと動くと、攻撃が来る前に粉砕する。
例え攻撃が当たっても無傷。防具も無いのに・・・。
戦闘が終わったことで、あの人は直ぐにどこかに行こうとするので、一緒に休憩しましょうと無理やり引き留めた。
引き留めた後、急いで私はユウに回復魔法をかける。
まだ目を覚ましていないけれども大事にいたらなくてよかった。
あの人は距離をあけて休憩するので私から近づき色々と話すことができた。
口数は少なかったけど、見た目は普通じゃないけど普通に会話できた。
他の友達は、睨みつけたりしていたけれどもそんな人ではないんだけどな・・・。
ユウも目が覚めたので一緒にゲートまで帰ることにした。
皆嫌がったけど、疲れていたのと何より安全に帰れるという事で合意してもらった。
あの人は、疲れじらずなのか帰る途中のゴブリンもほとんど一人で倒していた。
律儀に頭数分の魔石を分けていた。見た目と中身が違い過ぎて少し笑いそうになったけど、ダンジョンの中にいるはずなのに私は安心しきっていた。
ゲートに無事に戻れた。
ただ、もう少し会話したかったけどあの人は直ぐにギルドの方へ行ってしまった。
ユウは念のためギルドの医務室へ連れていき、アツコとケイとで簡単に食事だけして帰る事にした。いつもより静かな食事会だった。
私はあの人と次はいつ会えるのかなと、ぼーっと休憩所を眺めていた。
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おらに力(気力)をわけてくれ・・・。




