イノシシ編 閑話その3 ある防具屋の店主
ある防具屋の店主
私はとある防具屋の店主。
名前も経歴も全て秘密。
ただ、ある武器屋の彼女とは腐れ縁で知人で今もたまに仕事であったりする程度には仲がいい。
防具屋で色々なものを扱っているけど、基本的にはオーダーメイドで製作している。
気が付いたら弟子も数人いて、依頼から完成までは半年待ちぐらいの人気店になった。
暇な時間が増えて店番をしたりしても、イイ男がいないと思うそんな毎日が続いていたそんなある日、ギルドマスターから特注の依頼があった。
ギフト「露出」に合う防具を造ってほしい。
この業界に入って数十年経つけど自分の耳を疑ったわ。
ギフトとは、極稀に生まれ持って持っている能力。生まれついた才能。純粋な能力。
そんなギフトに「露出」なんてあるなんて、ダンジョンと人間とは本当に不思議。
ギルドマスターの依頼もあって、私が直々に作製する。
ただ、サイズも分からないので店に来てもう事にした。どんな男かも気になったのも含めて。
見た目は普通。目以外は。
あんな目をした冒険者は見たことが無い。
ナイフのように鋭利で、何をしでかすか分からないそんな謎も含めて恐怖を与えるような目。
久々にゾクゾク出来そうな男。
丹念に全身を計り。
たまに耳元で誘惑して身体の反応も確認してみた。
確認すればするほど興味を惹かれる。
本気で誘惑しているのに頑なに靡かないなんて、仕事を抜きにしても久々に面白くなりそうだわ。
趣味も合わせて一通り身体を検査して、全身のあらゆるサイズが分かった。
良いもの持ってるのはさて置いて、「露出」に合わせた防具を造らないとね。
久々に製作意欲が湧いてきた。
寝る間も惜しみ、数日で完成させてギルドに送った。
一見普通そうなパンツとマスク、防塵・防滴はもちろん、防刃・防炎性に優れたものが出来た。
肌を露出させるためパンツのみにしてギフトを活かす事にしたのはギルドマスターからの要望だった。
終わってしまうと少し寂しさも残るが、あの男は直ぐにまたお店に来るだろうとなんとなく直感が告げていた。
次はどんな装備を造ってあげようかしら、また男の顔を思い出しながら次の製作に少年のように心を躍らせるのであった。
読んでいただきありがとうございます。今後ともご声援のほどよろしくお願いいたします。




