イノシシ編 閑話その2 ある武器屋の店主
ある武器屋の店主
私は愛子。本名はヒ・ミ・ツ…。
昔はそこそこな冒険者だったけど、今は結構有名な鍛冶職人をやってる。
最近では東京の一等地に店を構えるぐらいには腕が立つと自分でも思ってる。
武器の作製や改良、たまにおしゃれして店番をしているのよ。
むさ苦しい鍛冶場も嫌いじゃないけど、おしゃれする方が私は好き。
これが原因でチームが解散したけど後悔はないわ。
可愛い男の子が来たりするから、たまにアプローチするんだけど、今のところ誰も私の愛に気が付いてくれないのよね。
世の中って不思議よね。
でも、最近私が店番でも果敢に私の愛に答えてくれて店に来てくれる中々にイイ目をした男。
私ほどじゃないけど、鍛え抜かれた身体。
今にも殺りそうな鋭い目…。
悪そうな感じがまだ私の心を惑わせるのよね。
そんな彼は、短い間で直ぐに武器を壊してしまう困った人。
壊れないような武器を渡しても数週間で新しい武器を注文してくる。
お店としては嬉しいし、会いに来てくれるのはもっと嬉しい。
でも鍛冶屋としては、どんな戦い方をしているのかは心配だわ。
旧友の今どこぞのギルドマスターをやってる昔の男からの依頼って事もあって、武器作製を引き受ける事にした。
乱暴なあの人には乱暴に扱える武器を造ってみた。
彼を想像しながら、太くて、硬くて、ゴツゴツしていて・・・。
想像に任せて造ったのは中々良い出来栄えだったわ。
私でも重いとカンジちゃうくらい、
黒くて太くて
すっごく堅い
ゴツゴツしている
金棒・・・
彼でも扱えるか分からなかったけど、難なく振り回せていて少し安心した。
金額は材料費のみだけ請求するのは、愛のため。
また、彼が来る日を待って・・・。
あの彼は今度はいつ私に会いに来てくれるの・・。
恋焦がれる乙女のようにあの人が来るのを私は楽しみに待つのであった。
読んでいただきありがとうございます。今後ともご声援のほどよろしくお願いいたします。




