イノシシ編 第32階層
「目が覚めましたか。」
スピーカー越しに声が聞こえてくる。
「あぁ、はい・・・。助けてもらいありがとうございます。」
急な質問だったので気のない返事になってしまった。
「とりあえず、そのままで今から事情聴取をするから。それとお礼ならきちんと彼女に言うんだね。」
彼女?女の人に助けて貰ったのか・・・。
最近では、モンスターか変態としか言われない俺を助けてくれる聖者みたいな人もいるんだな。
世の中捨てたもんじゃないな。
事情聴取は何度目か忘れたが、多分二度目ぐらいかな。
慣れたくはないが、ここ最近の人生でやっかいになり過ぎてて慣れました。
そして、ベットに繋がれたままつつがなく終りました。
釈放という名の解放・・・。
さて、何がなんやら分からんな。
とりあず無罪で良かったです。はい。
こんな時ぐらいしか頼りにならないムトウのおっさんにもで聞きに行くかな。
それと財布の中身は無くなっていた。
いつの間に抜かれたのか、刀の男恐るべし・・・。
さて、財布とその他カードは無事だったのでATMでお金を引き落としギルドというマイホームに帰ろう。
血が足りないから肉食べて、ゆっくり心と身体を休めよう。
ギルドに着くと、とりあえずムトウさんに連絡をする。
あちらも話したい事があるとの事ですぐにおっさんの部屋、ギルド長の部屋で会うことになった。
事の顛末というと・・・。
冒険者によるオヤジ狩りにあった。という感じ。
今回は犯罪組織の下っ端による犯行で気絶していた3人はお互い本名を知らない。
リーダー格の男も顔と呼び名ぐらいしか分からないらしい。
犯罪組織の名前も実態も分からないらしい。
俺に重傷を負わせた奴ならそこそこの情報があるのでは?とムトウのおっさんは推測しているとのこと。
俺の治らなかった傷は、特殊な傷で「呪い」のような状態になるものらしい。
傷が「呪い」の状態になると回復が止まるもしくは悪化する。
対モンスターなら心強いが、対人になると物騒な武器だ。
因みに折れた腕や吹き飛んだ腕、股間は元に戻ったらしい。
治っても数年間は強制労働らしいけど・・・、南無。
さて、腹が減っていたので会話を聞きながら飯を食べていた。
少し失礼だが血が足りないからしょうがない。
そう、俺は今回の事件の被害者だからしょうがない。
しょうが・・・モグモグ。
「ごちそうさまでした。」
事の顛末も聞けて、腹も膨れてよかったよかった。
お礼を述べてムトウのおっさんの部屋を出ようとした。
「まあ、今後はきをつけろよ。それとかつ丼は次の魔石の換金時に天引きしとくから。」
なんとまあ、世知辛い世の中ですね。
きっとすごい酸っぱい顔をしたんだろう、ムトウのおっさんに苦笑いで見送られた。
さて、そんな事より傷を治してくれた人に会わないとな。
俺の傷を治してくれた人、俺の命を救ってくれた人。
「まさかミレイちゃんだったのか・・・。」
ブックマ・ご感想いつもありがとうございます。
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更新が遅くて申し訳ないんですが、今後も読んでもらえると幸いです。




