イノシシ編 第30階層
腕を折ってしまった男はその場にへたり込んでしまった。
通行の邪魔なので男を適当に道の端に放り投げる、少し投げすぎたせいか電柱にぶつかり動かなくなってしまった。
さて、状況を確認する。
私の頭はまだ激痛がするが、身体は動く。万全ではないがヤレる。
全部で若い男が4人、内1人は電柱の下で既に沈めた。
バットのような鈍器を持っているのが1人、ナイフを持っているのが1人、素手が1人。
ふと顔を確認すると居酒屋であった若い男達だった。
昨日も大人なお店ですれ違った男はナイフを片手に困惑している。
「く、こいつ気絶しているんじゃなかったのか。しかも変態かよ。」
「訂正しよう、私は紳士だ。」
一瞬でナイフの男に肉薄してナイフを叩き落そうとして腕を殴ってしまった。
「あぷぱっ」
おっと、肘から先が吹き飛んでしまった。
ここは紳士として素直に謝らないと。
「これは大変失礼。」
ナイフの男は腕を抑えたまましゃがみこんで動かなくなった。
ふと、気が付くと素手の男は何やらこちらに手をかざしている。
「くそがっ!!死ねぇーー!」
風を感じたと思った瞬間、私の肉体が切れた。
風の斬撃なのか、かまいたちなのかよくわからないが私の皮膚が切り刻まれていく、
そして同じく私のパンツも切り刻まれていく・・・。
くっ・・・、股間を集中的に切るのは止めてくれ、まだ使いたんだっ!
ほぼ未使用なんだ、勘弁してくれ!
股間だけでも守ろうとしたが、時すでに遅し、
無情にもパンツがヒラヒラと落ちていった・・・。
パンツが破れる感覚と開放感に包まれながら私はその場に倒れた。
数秒ほどか、体感では1ち時間ほどか身体を刻まれアスファルトもズタズタになり、煙が立ち込めている。
「やったか・・・。ザマァ・・・。」
安堵した男の声が聞こえる。
彼らの息遣い・鼓動が聞こえる。
私の力強く脈打つ心臓がうるさいぐらいに聞こえる。
切り裂かれた私の身体が呼吸をする度に熱を帯びる。
すぅーはぁー・・・。 血管が繋がり流血が止まる。
すぅーはぁー・・・。 切り裂かれた筋肉が超回復する。
すぅーはぁー・・・。 皮膚が傷口を覆っていく。
ひっひ ふぅ・・・。 私が立ち上がり、私の息子が天を向く。
どうやら私も我がほぼ未使用の愚息はまだ健在しているようだ。
完治
「な、なんだと・・・。」
驚きのあまり動けない男達。
フンッ!
息子は無事だったが、同じ男として股間を狙うとは紳士の片隅にも置けない。
外道の所業、許すまじ・・・。
素手の男は手をかざしてきたが、二度も同じ手にはかからない。
一気に肉薄して股間に気合のストレートパンチ。
外道には外道にて対応してやろう。
少し力みすぎたためか、素手の男の股間がはじけた。
「きたねぇ花火だ・・・。」
男は口から泡を出して崩れ落ちた。
「最後は貴殿だな・・・。」
よく見ると鈍器は大きめの警棒だった。
余裕で佇む男。
「ちっ、こんな変態にやられるなんて雑魚共が・・・。また集めるのも面倒だな。
まあ、いいか面白いものが見れたし終わりにしようか。」
言い終える頃に何やら刀を取り出した。
アイテムボックス持ちかなのか、何もないところから刀を取り出し、構えた・・・。
他の連中にはない威圧感を感じる。
私の肌が、息子がピリピリとしてくる。
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また、長期休暇にならないよう頑張りますので、よろしくお願いします。




