イノシシ編 第27階層
翌朝、事の顛末をハゲのムトウさんに報告した。
ついでに文句も言っておいたが笑って「すまん」とだけ言って誤魔化された。
まあ、なし崩し的に今後は自由に外出して良い事になったので許してやることにしよう。
まあ、生きて戻れたから問題は無いのだが、流石に今回はヤバかった。
武器も壊れてしまったので新しい物を準備しないといけないしな、憂鬱だ・・・。
武器を購入しにいかないとな。
久々に武器屋に行かないといけないのか、憂鬱だ。
しかし、背に腹はかえれないか、重い足取りで武器屋に向かう。
「いらっしゃぁい。」
クネクネしながら筋肉メイドが出迎えてくれた。
前の来店の記憶が蘇ってくる、身体の隅々まで触られたのを今さらになり思い出した。
思い出しただけで鳥肌が立ってくる。
うぅ・・・帰りたくなった。
しかし、武器も無い状態では今後の探索は更に厳しくなる。
結局、俺は1人だしな。
壁に立て掛けてある武器を購入しようとしたが、
どれも上手く触れなかったり重く感じたりした。
理由が分からず困っていると、後ろからピンクドレスを着た筋肉に羽交い絞めにされ、
耳元に息を掛けるように説明された。
「あなたのステータスに合わないと武器を上手く扱えないのよ。」
「ありがとうございますっ!(離れろ変態!)」
くっ、なんて力だ、全力で振り切らないと抜けれなかった。
なんとか後ろの○は死守できたので、ステータスを教えて特注の武器を造ってもらう事にした。
どうも俺のステータスは「腕力」に比べて異常に「器用」が低いようで特注品でないと用意できないとのことだ。
さて、武器が出来上がるまでの一週間は大人しくしていよう。
今思うと、住み込み生活のおかげでお金もかなり潤ってきたので、少し遊びに行こうかな・・・大人しく。
都内で有名な高級寿司と今までの人生で飲んだことのないような高そうな日本酒で腹を満たしてみたが、庶民的な舌ではなんとなく旨いとう感じだった。
ついでに久々に「大人の遊び」でもしようと歩きだした。
前々から行ってみようと考えていた、場所。
所々にネオンの光が怪しげに光る街路でフラフラと目当ての店まで歩く、
目指す店の前でワクワク・ドキドキしながら店に入ろうとした。
「なんで入店できないんだ!」
怒鳴りながら若い男が店から出てきた。
「当店では冒険者の入店を禁止しております。お引取りを。
まだ、騒ぐようであれば当店もそれ相当の対応をしなくてはいけません。」
「ちっ」
舌打ちをして苦虫を噛んだような顔をして立ち去る若い男。
若い男と目が合い少し気まずい雰囲気になったが男は足早にどこかに歩いて行った。
どうしようもできず、俺は店の前で立ち尽くし、
数秒固まったのち180度向きを変えて黙って家路に着いた。




