イノシシ編 第24階層
目の前が真っ赤に燃えている。
そう、俺も燃えている。
「ギャァーーー」
熱い、痛い、思わず地面に膝を突いた。
痛みと熱さで思考も身体も止まりそうだ。
このまま消し炭になりそうだが、気力を振り絞って生活魔法で大量の水を出す。
水を出しながら着火点から離れる。
直ぐに火を消すことが出来たが、服も俺もボロボロになっている。
ゴブリン達が近づいてくるのが見えるが、
立ち上がるだけで精一杯だった。もう、身体が動きそうに無い。
武器も何処かに落としてしまったようだし体力もヤバイ、このままだとやられてしまう。
そう思っていると、ゴブリンが俺の動きを止めようと服を掴んできた。
いつもなら余裕で避けれるのだが、流石にダメージが大きくよろよろと倒れてしまった。
次々に俺に襲ってくるゴブリン達。
ゴブリン達は俺を掴もうとするが、
焼かれた服は簡単に破けてしまうようで上手くつかめていない。
掴んでは服を破り、また掴んでは私の服を破っていく。
私の服があらかた無くなり、
ようやく私を地面に押さえつけたゴブリン達は喜んでいるのか騒いでいる。
顔を少し上げると皮鎧のゴブリンが歩み寄ってきている。
一呼吸する度に痛みが引いていくのを感じる。
そしてまた一呼吸すると痛みよりも快楽が少しずつ大きくなってくる。
体感ではゆっくりとした時間の流れを感じつつ、
皮鎧のゴブリンに目をやると、私の武器を拾いこちらに近づいて来ている。
皮鎧のゴブリンが私の前まで来たようでもうゴブリンの足しか見えないが、
きっと私を見下して笑っているのだろう。
まだ、痛みが完全に引いていないが押し寄せる快楽と
力が漲ってきているのを感じ、立ち上がろうと身体を動かす。
何の抵抗も感じず立ち上がることができた。
私の身体を押さえつけていたゴブリン達は驚きつつもまた押さえつけようとしている。
邪魔だったので、適当に振り払う。
私の腕にしがみ付いていたゴブリンは、そのまま地面に殴りつける。
トマトのように簡単に潰れ地面に赤い染みを作る。
背中にへばり付いていたゴブリンは、頭をつかみそのまま砕く、
頭部をなくしたゴブリンの身体はズルズルと私の身体から落ちていく。
足に巻きついていたゴブリンは軽く足を振り、離れさせて踏み潰した。
地面に数箇所に赤い染みを作り私の周りにいたゴブリン達を砂に変え、
皮鎧のゴブリンに目を向けると、私の武器を振り上げて襲い掛かってきていた。
より集中することで先ほどよりもスローモーションのように奴の動きが見える。
避ける事も出来るが身体をズラすこともせず、顔面にカウンター気味に打ち抜いた。
単純に奴よりも先に殴れば良いことだ。
拳が当たった瞬間、奴の顔面が豆腐のように崩れ、頭部が吹き飛んだ。
頭を無くしたゴブリンの身体は勢いも無くなり私の手前の地面に崩れ落ちた。
奴の手は既に砂になっていたので、その砂の中から私の武器を拾い、
中央で鎮座しているゴブリンに顔を向け近づこうとすると、
残っていた3匹の皮鎧のゴブリンが襲い掛かってきた。
飛び掛ってきた1匹目と2匹目は同時に飛び掛ってきたので
2匹まとめて鎧ごと力任せに胴体を両断した。
空中で上半身と下半身が離れ、ドサリと4箇所にそれぞれ地面に落ちていった。
逃げ腰になった最後の1匹は首根っこを掴み偉そうに鎮座しているゴブリンに投げ捨てた。
鎮座しているゴブリンは飛んできたゴブリンを軽く手で叩き落とし、
何事も無かったように立ち上がった。
ゴブリンにしてはデカイ、私と同じぐらいか少し大きいぐらいだ。
約2mほどの大きさだろうか、本当にゴブリンなのだろうか?
鉄の鎧をまとい、手に大きな剣を構えてゆっくりと私に近づいてくる。
顔もゴブリンよりも厳つくて顎から2つ牙も生えている。
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