イノシシ編 第10階層
「ダンジョンでお会いしましたよね?」
ん?
ミレイちゃんが近づいてきた事も驚いたが、なぜバレたんだ?
「人違いではないですか?」
とりあえず、とぼけてみた。
「嘘ですね。エザキ ケンさん。」
俺の本名まで知っているのはおかしい。なぜ俺の本名を知っているんだ。
ドッと額から嫌な汗が流れるのを感じる。
どこでどうバレているんだ。
ヤバイよ、ヤバイよ、リアルがちでヤバイよ。
さっきまで幸福で満たされていたのに、今は脳内がカオスになっている。
「な・・・なんで、どうして俺の名前を、」
開いた口が塞がらないとはこう言った事を言うのか。
非常に不味い、さっき旨いものを食べたばかりだが苦虫でも噛んだような気分だ。
「ミレイちゃん、その人と知り合いなの?」
しかも、よりにもよって熱い眼差しのアツコさんも近寄ってきた。
「はい。親戚のエザキさんです。」
ダンジョンで見た君の笑顔は凄く可愛かったけど、
どうしてだろう、今の君の笑顔からは恐怖しか感じません。
「そうそう、ミレイちゃん久しぶりだね。元気だったかい?」
とりあえず、今は合わせるしかない。
引きつる顔をどうにか無理やり笑顔にして返答する。
「ふーん、そうなんだ。はじめまして友人のアツコって言います。
ならミレイ、私は先に席に戻ってるね。」
颯爽とアツコさんは席に戻っていった。
アツコさんはダンジョン内とは違い、礼儀正しい子だったんだなと評価が上がる。
まあ、俺の格好が問題だっただけなんだがな。
さて、大きな胸と問題が俺の目の前にある。
とりあえず、俺はどうしたらいいのだろうか・・・。
「エザキさん、今度からケンさんと呼ばせてくださいね。
なんでしたら私のことはミレイと呼び捨てにしてもらっても構いませんよ。」
なんだろう、テンプレのような凄く嬉しいことを言われている筈なのに、
嫌な予感しかしない。誰か助けてくれ。
「静かな場所で二人っきりでお話したいので、後日連絡ください。」
電話番号を書いた紙を置いて、ミレイちゃんも戻って行った。
とりあず、俺は直ぐに会計をして自室へ戻った。
きっと今日起きたことは夢なんだと思いながら、ガクガク震え布団に包まりながら夜を過ごした。
評価・ブックマークありがとうございます。
今後ともご贔屓に。
女の子の話を書いたらPVが一気に増えました。
今までの最高PVを一気に超えたのが複雑な心境です。




