イノシシ編 第9階層
「さて、引き止められてしまったわけだが、何の用かな?」
ミレイちゃんは凶悪な武器を抜きにしても可愛くて魅力的な女の子だが、
こんな格好のおっさんを捕まえるという事は、どんな宗教に勧誘するのか、
どんな高級な壺を買わされるのか不安になる。
「ゲートまで一緒に行きませんか?」
他のメンバーも渋々お願いするようにこちらを見ている。
アツコさんだけは嫌そうに私を睨め付けている。
ん?
なるほど、休憩したとは言え、ゲートまで戻るにもなかなか道のりが長い。
病み上がりの仲間1人をサポートしながら戻るのは厳しいと判断したようだ。
例え、おかしな格好をしている冒険者と一緒にいるのは嫌だが、
安全を考えてこんな私にお願いしてきたという事か・・・。
まあ、戻るついでだしミレイちゃんもいるから良いか。
「私も戻る予定なので、構いませんよ。」
と、いう事で一緒にゲートに戻る事になった。
途中で、何回かゴブリン達と遭遇し、特に問題なく撃破していく。
1人じゃない分かなり戦闘が楽に感じる。
仲間っていうのは良いもんだなと思う反面、
今の私には誰もいないと思うと少し寂しい気分になった。
さて、無事にダンジョンから出たわけだが、
ミレイちゃんからは凄く感謝され、他のメンバーは渋々頭を下げていた。
アツコさんはその時も睨みつけていた。
まあ、今後会う事も無いだろうからな。
簡単に挨拶をしてギルドに隣接している自室に戻った。
部屋で、私服に着替えて拾った魔石をダンジョンアイテムを受付に渡す。
量が多かったようで鑑定と換金に時間が掛かるとの事で明日に明細を渡してくれることになった。
その後、夕食を食べに休憩所に向かった。
適当におつまみ、枝豆とタコわさを頼み久々の生ビールを煽る。
旨い、よく働いた後の最初の一口は最高に旨い。
一杯目のビールを直ぐに飲み終え、鳥のから揚げを注文した。
二杯目からはハイボールに変えた。
から揚げがくるまでは枝豆を頬張り、タコワサで端休めと目頭を熱くさせる。
さて、今日も良く頑張ったと自分を褒めつつから揚げを頬張る。
次は何を頼もうか休憩所の壁に掛けてあるメニューを眺めていると、
視界に女性のグループが見えた。
まさかの今日ダンジョンで出会ったミレイちゃん達のチームだった。
ミレイちゃんを見て嬉しさも感じていたがそれよりも焦った。
まさか、こんなむさ苦しい男ばっかりの休憩所に居るとは思わなかった。
内心かなり焦ったが、お互いの席も遠いし、目も合ってないので大丈夫だろう。
そう言えば、ダンジョンでは素顔も見せていないし、
名前も名乗っていなかった事を思い出し安堵して食事を楽しむ事にした。
から揚げと追加注文したお好み焼きを食べ終え休憩していると、
見覚えのある大きな胸が視界に映りこんできた。
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