ウサギ編 閑話 リン目線 その2
数週間後
私の言い付け通りに変態は大体同じぐらいの皮と魔石を取ってきている。
ただ、ここまで安定して取ってくるのも大した冒険者だなと感心してしまう。
残り1週間あたりで変態が月兎を見かけたらしい。
これは問題だ、しかし考えればこれはチャンスだ。
今回の件で私の能力が疑問視される可能性があるが、
その前に1人で月兎を倒せば私の評価は上り、簡単に挽回できる。
なので変態には、1週間部屋で待っているように指示した。
この事は、事後報告するとして本部には連絡しない事にした。
翌朝、久々の戦闘服に着替え出発した。
前回は、当時の同僚と二人で月兎の討伐を行ったが、
その当時は私と同僚はレベル15で、今のレベルはレベル20まで上がっている。
新しい魔法も覚えたので一人でも大丈夫だろう。
気合を入れて、ゲートを通る。
遠くの方だが、月兎を確認できた。
さて、月兎との戦闘が開始したが、
やはり前衛が居ないとかなりやりにくい。
結構な数の魔法を撃っているが、決定打はまだ無い。
新魔法はかなりの魔力を使う大技なので、撃つまで時間が掛かるし一発が限界だ。
あえて疲れた不利をして、新しく覚えた魔法の準備をする。
旨く誘いに乗った月兎が避けれない距離まで近づいた時、
衝炎撃波を放った。
その後、連発した魔法に大技を使ったため
魔力を使い切り地面に座り込んで少し休憩していると、もう一体の月兎が現れた。
私はただただ、絶望した。
魔力も尽きかけ、残り数発の火の玉しか出せない。
突進してくる月兎が見える。
ドドドドドドド
ん、突進してくる半裸の人が見える?
もう一度良く見ると、パンツ一丁の変態が物凄いスピードで向ってきた。
「きゃあぁぁーーー! へんたぁぁぁい!!」
月兎と変態に向けて数発の火の玉を出したが、
2体にはまったく掠りもしなかった。
そして私は意識を手放した。
目を覚ますと、変態に抱えられていた。
あまりの恐怖に火の玉を変態に向けて出したが、
ゼロ距離でも避けられ、そして私はまた意識を手放した。
次に目を覚ますと食堂のおばさんに介抱され病院に行く途中だった。
おばさんの話では、
私は変態に助けられたらしい。
研修を終えたばかりで武器を持たずに、防具も無く単独で月兎を撃破した冒険者。
私は不思議と、感謝だけではなく嫉妬にも似たモヤモヤした感覚を感じていた。
そしてその後、私はこのダンジョンから解任され、1人の冒険者として生活する事になる。
それは、また少し経ってからの話。
ブックマーク・評価ありがとうございます。
また、感想も頂きました。(誤字が多くてすいません。)
今後ともよろしくお願いします。




