ウサギ編 第14階層
少し寄り道話です。
さて、今俺は銀行にいる。
今回の報酬でかなりの高額収入が一気に入ったので旨い物でも食べて羽目を外そうかと30万円ほど引き出して財布に入れた。
俺の財布がパンパンだぜ、ニヤニヤが止まらない。
銀行での用も済んだ事だし、とりあえず回らない寿司か分厚いステーキか迷いつつ銀行を出ようとすると。
ドッジャアーーーン!
銀行の入り口が炎に包まれて爆発した。
「おい、全員伏せてその場から動くな。」
爆破された入り口からピエロマスクを被った奴らが入ってきた。
銀行強盗ってやつかな。
しかも入り口を爆破させたのは魔法だろう。奴らの内の誰かが魔法をぶっ放したようだ。
ってことは、冒険者の銀行強盗か・・・。
普通の警察官じゃ対応できないが、
最近では特別対応チームが出来たって聞いているから多分大丈夫だろう。
ボーっと観察しているとピエロマスクの1人に目を付けられてしまった。
「おい、そこの目つきの悪い奴さっさとその場に伏せろ。」
ここは黙って従いその場に伏せる。
周りの客は驚きつつも静かにピエロマスク達の指示に従っている。
ピエロマスクの銀行強盗は全員で4人。
少なくとも魔法が使えるのが1人。
しかし、赤子を連れた母親も銀行に居たようでその赤ちゃんが泣き始めてしまった。
母親が一生懸命あやしているが一向に泣き止む様子は無い。
その泣き声にイライラしたピエロマスクの一人が銀行員に早く金を出すよう指示している。
他の3人はホール全体の客と銀行員を人質にするのか整列させている。
その間もギャン泣きしている子供を母親が泣き止まそうと必死にあやしているが、
止まる気配も無い。
「うるせえな!おい、ガキが泣き止まないのなら燃やすぞ!」
大声で脅しながら子供と母親に近づくピエロマスクの1人。
手を向けて、火の玉を出そうとしているピエロマスク、
逆効果だったようでさらに激しく泣叫ぶ赤子、赤子を必死に泣き止まそうと抱きかかえる母親。
「ちっ、うるせぇガキだな、まあいい消えろ。」
無慈悲にもピエロマスクは二人に向って火の玉を放った。
迷っている暇は無い、子供と母親を守る為に俺は二人の壁になるように火の玉に飛び込んだ。
「ギャァーー」
聞こえてくる自分の悲鳴だけだ。
赤子はどうやら泣き止んだようだ。
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今後ともご贔屓に。




