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脱サラリーマンの冒険記  作者: 団子 虫
第二章 ウサギ編
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ウサギ編 第2階層

評価、ブックマありがとうございます。

しぶとくランキングに載っております。今後ともご贔屓にしてもらえると嬉しいです。

リンさんに続いてゲートを潜ると、

研修用のダンジョンとは異なり見渡す限りの草原だった。


「えぇーー!?」

まさかダンジョン内でこんなに驚くとは思わなかった。


「このダンジョンは階層は無いのですが、見ての通り超広域なダンジョンになっています。

日没の時間は外と同じですので夕刻には戻ってきてください。」


広すぎる、見渡す限り草原だ、

丘や小川もあり、ダンジョンの中にいるとは思えないな・・・。


ん?

奥のほうで白いものが動いているな。


「見えるんですか?なかなか目が良いですね。

 あの白いのがこのダンジョンのモンスターになります。とりあえず近づいてみましょう。」


近づくにつれて白いのは、モフモフしている感じだと分かった。


「これは、ビックラビットと言ってもっとも発生率が高いモンスターです。」


そういってリンさんは説明しながら、

ニコニコしながらビックラビットという大きな兎に手をかざした。


もしかして、リンさんモフモフしようとしているのか?

モフモフするのが好きな女性なのか?


するんですか!? モフモフ!?


ん?てか、モンスターをモフモフして大丈夫なのか。

と思って止めようとして声をかけようとした瞬間、


「焼き尽くせ、ファイヤーボール」


ドーン!


リンさんの手から30cmほどの火の玉がビックラビットに向って出た。

そして、大きなウサギさんは周りの草もろとも炎に包まれ、

悲鳴を上げる間もなく、丸焼きになった。


えっ・・・、

そしてそのまま丸焦げに、砂の山になり、塵となり風となった。


「こんな感じでちゃっちゃっと片付けていってください。」

と焦げた地面の上にあった魔石を拾い、ニコニコと俺のほうに向いたのだった。


やだ、この人めっちゃ怖い・・・、

魔法の詠唱が中二坊っぽかったし、小さい時になんかあったんじゃないかな。


私は君の過去と将来が心配です。


「と、次はケンさんがあそこにいる黒いやつをやちゃってください。

もしかして、モフモフとかしたい方でしたか?

止めたほうがいいですよ、触らなければおとなしいですが、触ると急に凶暴になります。

しかも、噛まれると軽く指とか肉とか持っていかれますので。」


う・・・、可愛い見た目によらず結構強力なモンスターってことか。

相変わらず、笑顔でキツい内容のことをサラッと言うなこの人。

そんなリンさんに恐怖を覚えつつ黒い大きなウサギに近づく。


ちなみに色は違えど、先ほどと同じビックラビットらしい。


可愛そうだが、俺の仕事なんだ、許してくれ。

いや、許してほしいなんて甘い考えではダメだな、いっそ俺のことを恨んでくれ。

その方が自然だよな。


さて、覚悟を決め、出来る限り苦しまないように一撃で仕留めよう。

それが俺の出来る唯一の慈悲であり礼儀だ。


少し中二坊な感じで脳内で台詞を詠み雰囲気作りをして、

自分の気持ちを盛り上げてから拳に力を込める。


そして、ウサギさんの後頭部に思い切りたたきつける。


ガ!


ドン!


骨の砕ける音が響き、ウサギさんの脳汁が周囲に飛び散り、緑色に黒赤色が飛び散った。

最後に拳が地面に当たって軽い衝撃が自分の足に伝わる。


「おぉーなかなか、凄いスキルですね。低レベルなのに一撃で仕留めるなんて、

 それならこのダンジョンでも十分にやっていけますね。」


ぴくぴくしているウサギを見ながら嬉しそうにニコニコしているリンさん。


この人は無残なウサギの姿に満足しているのではなく、

俺が一撃で仕留めたから喜んでいるんだろう、きっとそうだろうと信じよう。


ん?てか俺、スキルなんて使っていないんだが、

まあ良いや、リンさんも納得しているようだし問題ないだろう。


「そうそう、稀に毛皮を落としますので忘れずに拾ってきてください。

大きいほど落としやすいという集計も出ていますので、ご参考までに。

では、今日は様子見でしたのでここまでにしましょう。」


今日の探索が終わり、帰還ゲートを潜り受付に戻った。


その後、リンさんと一緒に夕食を済ませ、特に何事もなく自室へ案内され就寝するのだった。

自室は、まさに旅館のような部屋だった。

20畳ほどの大きな部屋にテーブルがあり、たんすの中に布団が入っている。

古典的な旅館スタイルな部屋であった。


同じ屋根の下で男と女が一緒なのに何も起きないなんて、

俺ってそんなにモテないんだな、と改めて自分のモテなさを実感しつつ、

心のどこかでは今後に期待している自分もいた。


期待に胸を膨らませながら眠りに付いた。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 軽妙な文章で書いておられて、読みやすいです。 楽しく読ませていただいています。 [気になる点] 日本の家屋・風習では、布団は「たんす」にしまうことはありませんよ。畳敷きの和風旅館でも布団は…
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