最終階層
長くお時間かかりましたが、ご声援ありがとうございました。
もちろん、皆さまの誤字脱字の訂正もありがとうございました。
「あなた、いってらっしゃい。」
小さな少年と一緒に手を振る小柄でおっとりとした美少女。
「無事を祈っている。」
少し膨らんだお腹に手を添えながら、見つめてくる金髪の美女。
「帰ってきたらもう一戦ね。」
挑戦的な言葉とは裏腹に優しい顔をしている釣り目で中国美女。
アメリカから帰国して数年が経過した。
産まれたての赤ん坊は、出産するまでは早かったが成長速度は普通で今年で2歳になる男の子だ。
一生懸命手を振る姿が可愛い・・・。
そして俺も人の親になったのかと思うと感慨深い。
それと舘さんは俺の息子というか、舘さんにとっての初孫にメロメロだ。気持ち悪いぐらいに。
ただ、俺への態度は変わらないので困ったものだ・・・。
そして、ジェシカさんとも結婚した。第二夫人的な感じだろうか。
どうやら冒険者は一夫多妻でも、多夫一妻でも良いらしい。国としてもダンジョン攻略を進める上でダンジョンの適正者を増やしたいんだとか。
ただ、ジェシカさんの場合はアメリカでもトップクラスの実力者だったので少しモメた。
美麗ちゃんがなぜか了承してくれたのも驚きだった。
最後になぜか付いてきた中国チームの二人。
優男だと思っていたら、リーという女性だった。名前も男っぽいのでわからなかった。
舘さんが雇用主になりこの二人とはダンジョン攻略を一緒に行うことになった。ちなみに伯爺さんは俺の師匠という事になり中国武術も少しずつ学んでいる。
それだけだったら別に問題ではなかったんだけど、モンスターとの戦闘以外では隙を見て俺を殺そうとするキチガイな女。
そして、なぜか年単位で過ごしていくうちにデレはじめて美麗ちゃん公認の第三夫人になった。
なんで公認してくれたかは分からないが・・・。
「時には私のものを分け与える事も必要」と少し怖い事を言っていたので深く聞かないことにしている。
ただ、本当にこれ以上増えると物理的にも分離させられそうなので気を付けよう。
まあ、ダンジョン攻略中の恰好は数年前と大差ないのでこれ以上増える事はないと思うけど・・・。
ちなみに今の装備は、ふんどしに縁日でよく見るひょっとこのお面だ。
ふざけているとしか思えないけどステータスの向上やらその他の効果は凄い。
見た目とは裏腹に例に漏れず値段も凄い事になっているとか、そのせいで俺ぐらいしか使わないみたいだが。
「いってきまーす。」
系統は違えど美女3人にそう言って手を振り名残惜しそうに玄関から出る。
玄関の前では、白くて長い髭をなでている爺さん。
「今回の依頼も、ちと厳しくなりそうじゃけど、ほっほっほっ・・・。」
最近はリーの体調がすぐれないという事で伯爺さんと二人でダンジョン攻略を進めている。
そろそろ隠居してのんびり盆栽してみたいなあとか、
早めに引退するのためにも俺への指導を厳しくするとか、ボヤキながら歩き出す。
「今回も厳しいのかぁ、」とぽつりと愚痴をこぼす。
「まだ曾孫も抱かんと死ねんからのぉ、おぬしの働きに期待しているぞ。」
にやりとこちらを見つつプレッシャーをかけてくる義理の祖父。
「頭が痛くなるからやめてくれ・・・。」
俺はふうとため息をつく。
今の俺には帰る場所がある、そして帰りを待つ人がいる。
そんな暖かい気持ちを持ちつつも力強く踏み出してダンジョンへ向かうのであった。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
こんな小説でも読んでもらえてうれしい限りです。また、何か書くかもしれませんのでその時も応援のほどよろしくお願いいたします。