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脱サラリーマンの冒険記  作者: 団子 虫
第三章 イノシシ編
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ウシ編 第33階層

いつも誤字脱字の訂正ありがとうございます。

頑張って更新していますのでもう少々ご助力お願いします。

参ったなぁ、初日から喧嘩を吹っ掛けられるわ、無事に帰れたと思ったら渡部のおっさんにめちゃくちゃ怒られるし・・・。


唯一の楽しみはジェシカさんとの朝の移動だけだ・・・。


今日も合同練習かぁ、行きたくないけど朝の楽しみには遅れたくないしな・


溜息が止まらない朝だったが、昨日と同じようにジェシカさんが迎えに来てくれた。

妻子ある身だけど美人と通勤できるのは至福だ・・・。


渡部のおっさんは俺を睨みっぱなしでも、気にならないぐらい良い匂いが隣からするし、俺のつたない英語でもにこやかに会話してくれるのが最高だ。



そんな至福の時間は短く、合同練習が始まると帰りたくなる。

やけに態度が悪いアメリカチームの戦士職の男。

今日も俺にひたすらガンつけてくる。


合同練習といいつつも今日は個人戦という事で、模擬戦という名の実戦が行われるらしい。

即死(・・)以外なら即時回復できるようになっているらしいので安心と説明を聞いた。


一回戦目は俺とアメリカチームの戦士職の男

ちょっとは予想していたが、ここまであからさまだと思わなかった。


「おい、お前みたいな奴にジェシカは似合わねえし、釣り合わねえ。とっとと別れろ。」


昔の洋画に出て来そうな悪ガキの学生みたいな事を言うなよな。

まあ、あんな美人なら色んな男が近寄りたくはなるだろうし、この男もどうやらジェシカさんに気があるらしい。

「そんなものは個人の自由だ。それに俺は付き合ってない。彼女に失礼だ。」


「あぁ、てめえそんなにベタベタしといて何言ってやがんだ!口答えする気かゴラァ!!」


あぁ、もう完全に頭がイカれているのか血が上っているのか分からないが、会話にならない。嫌な雰囲気で合同練習が始まる。

いつもの冷たい目線以上に厄介者を見るような目線、そして憎しみと哀れみやらいろんな視線を感じる。


そんな中、模擬戦が開始された。


もちろん一回戦目は俺とガイアっていうアメリカチームの奴・・。


まさかのアメリカチームの戦士職の男だった。


仕組まれたのか、運が無かったのかは分からない。

ただ、天を見上げ溜息しか出なかった・・・。



アメリカチーム ガイア目線


久々にジェシカを見たが、いつ見ても良い女だ。

今日こそはデートの誘いをOKしてもらおうと声を掛けようとしたら、隣に半裸の男がいた。


妙に距離が近いしジェシカにも馴れ馴れしく話していて俺から見ても仲が良さそうに歩いている。あの男嫌いで有名なジェシカが男と仲良くしゃべっている・・・。


信じられないという驚きと、なんで俺じゃない男といるという怒りで頭が一杯だった。

しかも、見た目もほとんど裸で顔には石仮面、俺らと違うダンジョンを攻略していたという事は危険人物扱いされている冒険者じゃねえか。


見た目も経歴も俺の方が上、加えてアメリカ選抜チームの俺の方が強さも上のはず。

『ありえねえ、あんなクソみたいな冒険者が・・・』


一発ぶん殴ってジェシカを正気に戻してやろう。

ジェシカが少し離れた時、難癖をつける。


振りかぶった拳がアイツに当たるはずだった。

多少手を抜いているとはいえ当たるはずだったが、アイツは軽く避けやがった・・・。


俺は派手に倒れ、不意に腰の斧に手をかける。

その時、チームリーダーであるレオンに止められた・・・。


『クソッ、殴れなかっただけでなく、恥までかかされた・・・、アイツは絶対に許さねえぇ』


明日は、個人での模擬戦での訓練だったはず、その時にアイツを・・・。



そして、今日その日だ。

どうやら俺に気を使ってくれた奴が俺とアイツを組みにしてくれたらしい。

ボコボコにしてやる。


気合を入れているとぽつりとレオンが俺につぶやく、

「模擬戦での死亡は事故だ。好きにしろ」


俺はにやりとしながら訓練場中央へ向かう。

即死以外は治せるという事は、即死だったら治せないという事だ。嬲ってから事故と見せかけてぶっ殺してやる。


アイツ、今朝もジェシカと一緒に来てやがったな。

まあ、今日で終わりだと思えば良い思い出だったろう。

昨日と同じほぼ全裸のようなふざけた格好をして訓練場中央に向かってくる。

石仮面の下の顔は分からないが怯えているんだろうな、なにせレベルが20以上は離れている。

ステータスを見ても全ての項目において俺の方が上だ。

しかもアイツはスキルが無い、特性の「露出」という変態なやつと「再生」の二つ持っている程度だ。


攻撃スキルもないアイツが俺に勝てる訳がない。


「逃げないのだけは褒めてやろうモンキー、まあせいぜい死なないようにな。」


そう言うと模擬戦が開始された。


俺は斧を握り襲い掛かる。

俺の武器は「俊敏」のステータスを補助してくれる、俺の唯一の欠点である「俊敏」を底上げしてくれる、昨日のようには避けれないだろう。


まずは軽めに・・・。


一振り目を避けられ、連続して振り抜いた二撃目もあっさりと避けられた。

おかしい、こいつの「俊敏」は俺よりも低いはず、もう一度攻撃を仕掛ける。


が、あっさり避けられる。

事前の情報に間違いでもあったのか、まあいいか俺も本気を出させてもらう。


「ブースト」

このスキルはステータスの筋力と俊敏を上げるスキルだ、これでアイツも避けられないだろう。


もう一度攻撃を仕掛ける。

今度は避け切れなかったようで、アイツの腕を少し切れた。

皮膚を切り、血が少しずつ出て・・、ん?少ししか血が出ていない。

というか、ひと呼吸しただけで血が止まっているようにも見える。


コイツの再生速度が早過ぎないか・・・。

まあ、それ以上に切り刻んでやる。そう意気込んで攻撃を次々に仕掛ける。



数十分後


ハァハァ…。


おかしい・・、俺のほうが息が上がっている。

アイツから攻撃を仕掛けられねえとはいえ、おかしいだろ。

傷がすぐに塞がるとはいっても、アイツの体力はどうなってやがる。


「ブースト」や攻撃スキルも何度も使っているのに押し切れねえ、

事前のステータスはデマだったのか。

でも、そんなはずはねえ。


「俺ばっかり攻めて悪いからお前からも攻めたらどうだ?ほら来いよ!?」


そう煽りながら、懐に仕舞っていたアイテムを見えないように口に含む。

このアイテムは副作用もあるが、一時的にステータスを上げてくれる。

この一回で決めてやる。


アイツが俺に踏み込んで来る。


速いッ!!

でも、アイテムを使う前の俺よりかはな、今はアイテムの効果で俺の方が早くなっている。


アイツの振り抜く拳が俺に向かってくる。

拳を避けてカウンターで首を刈り取ってやる。



スローモーションのように見える。

アイツの拳の軌道から外れ首めがけて斧を振り抜く。


ゆっくりと動く時間の中


斧がアイツの首に食い込む。


そのまま刈り取って・・・。

ぐにゃりとアイツの首が折れた。



そう、曲がったのではなく折れた、首の骨が無いかのように俺の斧から逃げようとしている。

それでも喉、頸動脈を断ち切る。即死に近い重傷を与えたはず。


血がゆっくりと吹き出し始める。


俺はにやりと笑みを浮かべただろう、しかしその時俺の視界が歪み始める。

アイツの首元しか見ていなかったが、アイツの首同様に腕もぐにゃりと曲がり軌道を変えて俺の顎にアイツの拳が当たっていた。



な、なんで・・・。

そう思った瞬間、俺は意識を手放した。


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