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脱サラリーマンの冒険記  作者: 団子 虫
第三章 イノシシ編
136/147

ウシ編 第25階層

皆さんの応援もあり、休日は2話上げれるようになりました。

いつもの如く誤字脱字の訂正ありがとうございます。

ボス部屋前のテント


渡部目線

体感的には二時間程度寝ていたのだろうか、結構休んだな。

さて、江崎に悪いしそろそろ交代するか・・・。


「おい、江崎交替の時間だ、そろそろお前も休すめ・・・。」



ん?おかしいアイツの姿がないぞ。

どうなってる。


とりあえず、急いで花山をたたき起こす。

そして、周囲を探索するも江崎の姿も戦闘の痕も無かった。


扉の向こう側で衝撃音が聞こえた。


まさかと思い、ボス部屋の門を開くと拳を振り抜いて止まっている江崎。

既に色を失い、光になりつつある巨大なモンスターの下半身が視界に入った。



そして、ゆっくりと江崎は倒れた。



こいつまさか一人でボスを撃破したのか、俺の半分程度のレベルでかっ!?

常識外れも大概にして欲しいものだ・・・。

ダンジョンの発生、自衛隊在籍のままダンジョン攻略への部門異動、色々と経験していると思っていたが、ここまで非常識な奴は初めてだ。


見た目もさることながら強さもレベルに対して異常だ。

無理やりにでももっと詳しく調べないといけないのかもしれん。



まあしかしなんだ、こんな気持ちの良い寝息を立てて寝ているのなら少し休ませてやるか・・・。



静かになったボス部屋で再度しっかりと休む三人だった。



「ふあぁ、良く寝た。って俺は気を失ってたのか・・・。」


起きると寝袋を掛けられていた。

横では、携帯食を食べている渡部のおっさんと花山くんがいた。


「ようやく起きたか、お前ってやつはなんというかまあ生きててよかった。」

なんだか珍しく優しい渡部のおっさん。



そう言えばボスとの戦闘が終わったら気が抜けてしまったようで、小一時間ほど意識を失っていたみたいだ。


ボスの落したアイテムは、手斧と大きな黒角、そして赤い目玉だったようで、既に渡部のおっさんが回収してくれていた。


「よし、じゃあ待望の宝を確認するか。」

もう後はダンジョンの宝を回収して帰還するだけだ。これはダンジョンを攻略した者しか得られない報酬だろう。


この報酬の為に命を危険にさらしているのだ。

そして今日、江崎はその報酬を勝ち取ったのである。



このダンジョンのボスを倒した事で部屋に扉が出現した。

その奥には子部屋があり、綺麗な水晶、宝箱が数個置いてあった。


「ここのダンジョンコアはデカいな・・・。」


宝箱よりもダンジョンコアの大きさと光に目を奪われた。

直径が5mほどだろうか、台座から少し浮いて光輝いている。


渡部のおっさんの言う通りで確かに前に見たヘビのダンジョンではもっと小さかったし、色も白く光っていた。ここのコアは大きさがデカくて少し赤色に光ってる。


まあ、俺はダンジョンコアを見るのは二回目だから正確な判断はできないな。


「まずは宝箱の確認だ。罠が無いか確認するから少し待ってろ。」

そう言って、一つ一つ宝箱を調べて開けていく。


一つ目は、宝石だった。

大きさはバスケットボールぐらいでダイヤモンドのように輝いている。

ただ、渡部のおっさんいわくダイヤモンドに似ているが、全く違う物らしい。精密な鑑定をすればもしかすると凄い物かもしれないという事だ。

まあ、その大きさのダイヤモンドでも凄いんだけどな・・・。


二つ目は、弓矢。

大きさは1mほどでデザインはシンプルなものだ。これも鑑定してどんな効果があるか調べる事になった。


そして最後に三つ目は、「腕」だ。

映画で良く見るロボットのような金属製の腕に見える。

右・左の区別は無さそうで肩の付け根の部分に短めの針が一本ある。


何気なく、渡部のおっさんを見ると目が合った。

お互い考えていることは同じだったようだ。


「花山、これ腕につけてみろ。」

渡部のおっさんが、ダンジョンアイテムの「腕」を花山くんへ手渡す。


「えっ!?ダンジョンアイテムですよ!

 規約的にもダメですし、そんな簡単に渡しちゃまずいんじゃないですか!

 しかも、ここのダンジョンの最深部の宝箱から出た奴じゃないですか!?」


普通は簡単にあげる物でもないし貰う物でもない。

だから驚く花山くんのリアクションはいたって正常だろう。


たしかに契約には、

ダンジョン内で発見したアイテムに関しては全て国に提出となっている。

と記載されていた。


「まあ、ほら使うなとは言われていないだろ。だから大丈夫だ。」

方便だけど、渡部のおっさんの言っている事は間違いではない。

大人なんてこんなもんだ。


「でも、流石に・・・。」

まだ迷っていつ花山くん


「おっさん達からの要らないお世話だと思って使って欲しい。

 これからも冒険者としてやっていくなら絶対にあった方が良いしさ。」


そう言って、半ば無理やり花山くんの腕に着けた。

まだ傷が治りきっていない痛々しい切断面に「腕」の針をさした。

花山くんは別段痛がる事も無く、すぐに軽く馴染んでいる様子だった。

既に手を広げたり閉じたりとゆっくりだが出来ている。傷があったせいなのか分からないが花山くんの腕と機械が馴染んでおり境目が融合している不思議な感じになっている。


「よし宝も確認したし、花山の腕も何とかなりそうだ。

 最後にダンジョンコアを破壊して帰還するぞ。

 無事に帰還して初めてダンジョン攻略が完了する。まだ気を引き締めておけよ。」


遠足時のテンプレのようなコメントをもらい、三人でダンジョンコアの前に立つ。


「よし、皆で一斉に攻撃して壊すぞ。」

『サーイエッサー』


そう言って、渡部のおっさんがナイフを刺し、花山君が切り、最後に俺が殴って粉々にした。


と、光に包まれ収まると三人してゲートの外に突っ立ていた。

どうやらここのダンジョンはコアを破壊されると自動でゲートまで転送されるようだ。

見慣れた荒野、澄んだ空も今日で終わりか・・・。


少し寂しい気持ちになりつつもゲートを潜り帰還するのであった。


三人がいなくなったダンジョンは、風も止み、太陽も傾き夕暮れの真っ赤になった大地もゆっくりと色を失い、静かに消えていくのであった。


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