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脱サラリーマンの冒険記  作者: 団子 虫
第三章 イノシシ編
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ウシ編 第24階層

休日って良いですよね。

誤字脱字の訂正ありがとうございます。感謝しております。( ^^) _旦~~

私はすべてを脱ぎ去り何にも縛られない状態。

生き物にとって一番自然体で佇んでいる。


そう最も自然に近い状態。全裸

ある意味無防備だ。でもふと思う、人類は文明を手にした代わりに何かを失ったのではないのか?

原始的な生活でも人類は厳しい野生の中を生き抜いてきたはず。しかし文明を手にした事で生きる事が楽になった反面、野生の中でしか開眼しえなかった特別な能力を失ったのではないか。



私の中には「野性」と「知性」とが今思考を巡らし呼吸を整える。


そして身体の芯から力が漲ってくる。

熱を帯び始め、筋肉が肥大化するのを感じる。



いつでも行ける。



そう思った瞬間、黒い巨体が私へと向かってきた。

どうやら律儀にこちらの心の準備を待っていたようだ。



黒い巨体が物凄い速度で突っ込んでくる。

近づくにつれて奴の重圧も増してくる。


巨体の割に速いっ!!

しかし、これぐらいなら避けられない速度ではない。


サイドステップで横に飛ぶと巨体のくせに黒いミノタウロスが私の速度についてくる。

そして斧を薙ぎ払ってくる。



地面スレスレまで伏せて避ける。

私の上を物凄い速さで斧が通り過ぎる。



安堵する間もなく、黒ミノタウロスは既に振り上げていたメイスをこちらに向けて振り下してきた。


しゃがんだ態勢のまま横に飛び退き、死角になるように振り下された腕の方向へ避ける。


奴のメイスが地面を抉り陥没させる。


振り下した腕でこちらが死角になっているはず、そう考え脇腹目掛けて拳を振りぬく。


奴の脇腹に拳が当たるはずだった・・・。

なのに、私の脇腹に激痛が走る。


みると大きなヘビが脇腹に噛みついていた。

奴のしっぽがヘビになっていたようで、死角だと思っていたのは間違いでまんまと相手の術中にはまってしまったようだ。


ジワリと身体の中に何かを流し込まれている嫌な感覚がする。

そして、ひざが自然と落ちる・・・。


そんな動きの止まった私に奴がメイスを振り上げる。

毒のせいなのか身体が動かない。避ける事が出来ずメイスが直撃する。


ひしゃげる身体。

雑に空に放り出される。



飛び散る血と肉、骨の砕ける音、そんな痛み・感覚さえも少しずつ鈍く感じる。

壁に激突して身動きが出来ない。



寒い。



何故だか寒くなって眠くなってきた。



ここで終わりなのか・・・。

そろそろ休んでもいいかな。冒険者になって毎日ドタバタと休もうとしても休めない日々を過ごしていたしな。



なんだろう、もうどうでも良いそんな投げやりな感覚になってくる。



ふと前を見ると奴がゆっくりと歩いてくる。



なぜか視界の端に光が見えた。

どうやら自分の身体が薄っすらと光出しているようだ。



ボキボキと骨から嫌な音が聞こえ鈍い痛みが走る。

寒かったはずの身体が熱くなり、毛穴が開き汗が流れ出ている。

無理やり身体を直そうとしているのだろうか、ひしゃげた骨が元に戻る


抉れた肉が元の形に戻り皮膚が再生される。


そして一呼吸することに身体の痛みが引いてくる。

さらにもう一呼吸すると力が漲ってくる。


自力で壁から抜け出す。



そして、奴へと歩く。


いつもより身体が軽い、それに奴の動きも良く見える。



奴が咆哮を上げてまた突っ込んでくる。



避けもせずそのまま拳を振りぬいた。



拳と巨大な斧がぶつかりあう。

私の拳から飛び散る血と肉、そして奴の斧を砕く。


痛めた拳を引く代わりに反対の拳を振りぬく。


奴も壊れた斧を投げ捨て、反対の手に持っていた斧を振りぬく。



そして、同じように血肉と金属片が飛び散る。



奴の二つの斧を両方破壊したが両拳を痛める結果になった。

奴はにやりと勝ちを確信したかのように笑った。



しかし、私はまた拳を振り抜こうとする。

様子を見ていた奴はとどめとばかりにメイスで反撃してくる。


そして、また同じようにメイスを拳で迎え撃ち破壊する。

焦ったように反対のメイスで反撃してくるが同じように砕く。


奴は驚愕から激昂した様子で咆哮を上げる。

そして、武器がなくなり余裕も無くなった奴は四本の腕を使って殴りかかってきた。

私はありったけの力を拳に込めて振り抜いた。



ドゴッ


鈍い音と感触が拳に伝わってくる。

衝撃でビリビリと肌に空気が揺れたのを感じた。



そして、そこには奴の腹から下半分しか残っていなかった。



ゆっくりと色を失い、光になっていくやつの身体・・・。



俺はそこで意識を手放すのであった・・・。


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