ウシ編 第16階層
誤字脱字の訂正毎回ありがとうございます。それだけでも励みになります。
(成長しなくてごめんなさい。)
もう何分間と攻撃というか一方的に銃撃されているのだろうか、痛みにも慣れ冷静に状況を確認しようとする俺がいた。
足を前に進める。
そして一歩また一歩と銃を撃っている方向へと足を進める。
「こ、こいつ動けるのか?レベル50程度の雑魚がなんで私の銃弾に耐えれるんだ!」
耐えているけれど、避けたら後ろにいる仲間と治療中の金髪美女に銃弾が向かってしまうので避けれないだけなんだが・・。
「この変態イエローが!!死ねぇーー!」
さらに銃弾の数が増える。
ただ、俺も負けていられない。
攻撃が来ると分かっているし、一発一発は大したことない攻撃力なら耐えられる。
ゆっくりだが一歩、また一歩と足を進める。
ようやく相手の顔、表情が見える範囲まで近づくことができた。
ふと銃撃が収まる。
「こうなったら」
そう言うと、マシンガンから違う銃に変えたようで、ポップアップ式のショットガンの銃口を俺へと向ける。
そのスキに出来る限り近づき銃を叩き落そうと掴みかかるが、もう少しの所で顔面に衝撃が走りのけぞってしまう。
「がっ・・・」
一瞬意識を失いかけるが、ぎりぎりで踏ん張り相手を見据える。
連発は出来ないようだが、一発の重さがケタ違いだ。
ガチャリとリロードして再度俺に銃口を向ける。
まだ足が動かない、次の銃弾は両腕でガードする。
熱さ、痛みそして皮膚の焼ける匂いがする。
リロード中に一歩、また一歩と足を進める。ゆっくりだが頭も回復して足に力が入るようになる。そして衝撃と衝撃の合間に俺の皮膚がシュウシュウと音をたてて再生し始める。
「この変態イエローが!なんで死なない!なんで倒れない!クソッ!クソッ!クソーーーッ!」
銃弾の衝撃とタイミングを合わせ吹き飛ばされるのを防ぐ。
いけると思ったが、今度は足を撃たれ膝をついてしまう。
「バカの一つ覚えで私と戦えると思うなよ!くたばれ!」
バズーカを構える。
巨大な銃弾が俺に向かってくる。
そして俺はなすすべもなく、光と爆風に飲まれた。
「ふぅ・・・、少し魔力を使い過ぎたか・・・。木っ端微塵になっていないだけ大した奴だったな。耐久力しかないバカで助かったわ、ハハハハハ。」
地面の冷たさを感じる。
どうやら直撃をくらって倒れてしまったようだ。
腰巻もサンダルも吹き飛んでしまった。全身が痛むのになぜか全身が解放されたそんなすがすがしい気分だ。
ドクンッ
俺の鼓動が大きくなる。
ドクンッ
私の鼓動が強くなる。
私が、私の一部が熱くなっていくのを感じる。
そして、倒すべき敵がいる立ち上がれ・・・
守るべき人達がいるさあ、立ち上がれ・・・
脳内で誰かがささやく、そして私と私の股間が立ち上がった。
「なっ、なんで立ち上がれる!全裸でふざけやがって!死ね!死ね!死ね!」
もう一度、バズーカを構え私に銃弾を放ってくる。
なんて遅い弾なんださっき見た時よりも遅く感じる。
私は軽く拳を振るう、打ち出された銃弾は私の拳の風圧で誘爆した。
爆風をみて流石に二発も食らえば大抵のモンスターや、レベル50程度の冒険者は立っていられないだろうと安堵するキャシー。
「やったか・・・。変態ヤローが・・・。」
「お嬢さんがそんな汚い言葉を使ってはいけないよ。」
爆風の中から石仮面を付けた全裸の紳士こと私は最短距離を優雅に歩く。
「ひっ、ありえない・・・。このイエローの冒険者は変態な上に化け物か!」
あまりの展開で理解の追いつかないキャシーは膝から崩れガタガタと震える。
ダンジョンという危険な場所で全裸のはずなのに優雅に歩く様はまさに変態、しかし先ほどからの圧倒的なまでの防御力そして耐久力。
自身の最大攻撃でも傷さえつかない、いや、たとえダメージを与えてもコンマ何秒で再生する肉体。レベルも自身より二回りも低いはずなのに人間の枠から外れている規格外の冒険者だ。
そんな存在がスタスタと歩いてくる。
どうしようもできない、そんな恐怖が絶望が彼女を支配した。
「やれやれだ・・・。言葉遣いには気を付けるんだよお嬢さん」
既に裏切り者の女性は戦意を喪失しているようなので銃を取り上げる。ちなみに私の方は繊維を喪失しているな、ハッハッハッ。
「さあ、女性に危害を加えるのは好まない、そのまま大人しくしろ。」
彼女の前でそう言うと、キャシーという裏切りの一人は青白い顔をして倒れた。
まあ、手荒な真似は出来るだけしたくなかったので気を失ってくれて好都合だった。
ただ、なんで勝手に気を失ったのだろうか・・・。
キャシーが気を失ったのは、魔力を使い過ぎたことと、
全裸で石仮面を付けた変態が巨大な股間をキャシーの目の前で見せつけて言った「大人しくしろ」を性的な意味に捉えたせいだ。
そんな事とは気づかない江崎は彼女と銃を肩に担ぎ皆の元へと戻るのであった。彼女を駅弁持ちしない江崎は徹頭徹尾紳士である。