ウシ編 第4階層
久々の更新で申し訳ありませんが、今後ともよろしくお願いいたします。
ダンジョンへ向かう、アメリカのゲート自体は日本で見てきた物と変わり無い感じだ。
皆でゲートをくぐると、見渡す限りの荒野、空を見上げると目を細めるほど強い日差し。
遠くには岩肌が見える山々が見える。
背の低い木がチラホラと生えているが地面の土が剝き出しで風が吹くと砂ぼこりが舞う。
体感の気温は高いが、乾燥した風があるおかげかベタつく様な暑さは感じない。
今日は各メンバーの小手調べで様子を見つつ、鬼軍曹から集団戦の心得え的なものを教えてくれることになっている。
ダンジョン攻略は数日経ってから本格的に始めるとのことだ。
「という事で、まずは私からだが・・・。」
と鬼軍曹から始まった。
腰のホルスターからリボルバー式の拳銃を抜き取り、適当な木を打ち抜く。
「基本的に各自に指示を出すつつ、この拳銃で近距離から中距離の範囲で貴様らの支援を行う。いちよう軍用ナイフも持っているから一通り接近戦も行える。」
「次は私だね!」
と島野さんがナイフをジャグリングしている。
「戦闘は得意じゃないんだけど、避けたり隠れたり変装したりするのは得意かなー。」
おぉー、地面でジャンプして、再度空中でジャンプしたりと思ったら、今後は島野さん自身が薄くなったりとなんとも奇妙な技を見してくれた。
その後も顔や体系を一瞬で変わったり見ていて面白い。
じゃあと、次は花山さん
「僕は、見た目の通りの侍なんで、刀を使った近距離の戦闘が得意です。」
次は、という事でリンさん
「私は見た目通りで炎の魔法を使うわ。中距離から遠距離で範囲魔法が得意よ。接近戦は得意では無いから期待しないでね。」
最後に俺の番なんだが・・・。
「武器の支給が無かったから素手での近距離で戦闘だけは得意かな・・・。」
なんとも微妙な雰囲気になった。
内容は普通でも今の恰好がね、石仮面と腰に布巻いているだけだから仕方ない。
ゴホンと、鬼軍曹が咳ばらいをして指示を出す。
「島野には、敵と罠の索敵が中心になるから戦闘時は積極的にならなくて良い。
花山と蓮は戦闘時以外は島野の後ろを歩くように。戦闘になったら花山が前に出て、蓮は私の後ろまで下がるように。江崎は、島野の横を歩きつつ周囲の警戒、戦闘になったら花山と島野をサポートをしてくれ。」
『サーイエッサー!』
元気いっぱいに敬礼する島野さんに皆が少しほっこりした。
その後、数分歩きつつも今回のダンジョンについての説明を聞いた。
今の所、このダンジョンを調べた限りでは、階層は1階層のみで広大、モンスターはバッファローのようなモンスターで突進して襲い掛かってくるとしか分かっていない。
何度か調査されたが見渡す限りの大地しかないという情報は見つかっていない。
大したダンジョンアイテムも見つからず、周辺のホテルへの悪影響が出ているようだ。
ダンジョンは未知なるアイテムによる利益がでる存在ではあるが、今回の場合は悪い意味が大きく国としては早くダンジョン攻略を行いゲートを閉じたいようだ。
そもそもゲートを閉じるためには、そのダンジョンの階層主を倒せば済む。
今回のダンジョンは特殊なケースでかなり難航しているようで、その肝心の階層主の情報がまったくないので手づまり状態らしい。
そんな手づまりな状態だからと合同攻略という口実を付けて攻略させたいという主旨もあるようだ。
さて、そんな話を聞きつつも日差しが照りつく中、1時間程度歩いただろうか。
ようやく島野さんが敵を見つけたらしい。
「あっちの方に集団で移動しているモンスターがいるよ。こっちに向かって来てる!」
皆が島野さんの指さす方へ顔を向けるが何も見えない。
数秒後ようやく土煙が見える。
足元から微かに地響きを感じる。
ドドドという音も聞こえてくる。
「集団って・・・、何体ぐらいだ?」
若干引きつる顔で鬼軍曹が尋ねる。
「数え切れないぐらいです!サー!」
「どれぐらいかもわからんのか!?」
「20超えたあたりから数えきれないです!サー!」
「最初の実戦がこれか・・・。仕方ないとりあえずあの岩を背にして戦闘を行う。まずは移動!」
「サー!イエッサー!」
皆に緊張感が漂う、急いで移動を始める。
初日のダンジョン攻略にしては荷が重いなと思いながら指示を飛ばす鬼軍曹だった。