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脱サラリーマンの冒険記  作者: 団子 虫
第三章 イノシシ編
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ヘビ編 第13階層

久々で申し訳ございません。

「ほう・・・、それがどういう事か分かっているのだろうね?今一度確認させてくれないか?江崎君?返答によっては私にも考えがあるのだよ・・・。」



ヤバい・・・、どう見ても戦闘態勢に入っている。

気が付くべきだった。ダンジョン攻略者なのだろう。

今まで感じたことのない威圧感にビビるしかない俺。



「お父さん、あまりそんな雰囲気にならないでください。お腹の子に悪影響です。」



ファッ!?



カオスな状況がさらにカオスになり、俺の思考は止まった・・・。



「美麗・・・、い、今なんて言った・・・?」

オロオロしだす舘さん。


「は、恥ずかしいです・・・。その、私のお腹には私と拳さんの子供が・・・。」


数秒の静かな時間が流れる。



どさりと椅子に深々と座り込んでしまった舘さん・・・。



俺は未だに状況が呑み込めない。

なんで?キスさえした事が無いのに・・・。

伊達に30年生きていない。コウノトリが連れて来てくれる訳じゃない。愛があれば出来るわけじゃない。

何もしなければ妊娠するはずがない・・・。



もしかして、あるとするならば。

まさかダンジョン関係・・・、「職業:聖母」のスキル?


「ま・・・まさか、そんなスキルがあるんですか?」



「二人の愛があれば妊娠できるんです・・・。

 は、恥ずかしいです。謙さん、何度も言わせないでください。」


モジモジとしながら赤面になりながら説明してくれるミレイちゃん。

ま、まさか、ミレイちゃんはひょっとしてヤンデレ系だったのか?ヤンの部分にまったく気が付かなかった。こんなに可愛い子が・・・。


冷や汗を流しながらゆっくりと舘さんの顔を向く。

なんとも言えない表情で俺を見てから補足してくれた。


「まあ、江崎君が知らないのも無理はない。聖母という職業自体が希少な上に実際に試す必要もほとんど無いのでね。

  まさか初めて実際に使用されたのを今日娘から聞くとは思えなかったが・・・。

 こうなってはもうどうしようもできない・・・。」



最後に深いため息をつき、




「孫ができた事は驚いたし喜ばしいことだ。しかしだ、まだ美麗と君の結婚を認めたわけではない。

だが、こうなっては私のわがままにも少し付き合ってももらいたい。少しだけ君を試させてもらおうじゃないか・・・。」



先ほどの威圧感をにじませて暗い笑顔を俺に見せる舘さん。

テンプレありがとうございます。じゃなくて、この先嫌な予感しかないがこの場は頷くしか出来なかった・・・。



とりあえず解放された俺は舘さんの気遣いでホテルでも婚約者のミレイちゃんの部屋でもなく、

病院で管理している空いている部屋という名の隔離病棟で寝泊まりすることになった。



最後に舘さんが言った言葉「病院内で起こった事なら揉み消せる・・・。」が頭を過るが考えすぎないようにしよう。



壁は真っ白でシンプルなデザインかつマットのようにクッション性がある。

ベットも白色のマットだけ。


さらに完全換気で窓もない。


冒険者用とは聞いていたが、冒険者というのは嘘ではないがヤバめの冒険者用の部屋だったようだ。このまま寝たらもう起きてこれないのでは?一生監禁されるのでは?と心配になってよく眠れなかったのは言うまでもない。



スマホのアラーム音で朝と気が付いた。

日差しも感じないので今丁度6時なのだろう。

今さらだが、自分で部屋から出れない・・・、不安を覚えつつも呼び出し鈴を案らして扉を開けてもらう。


今日中にココから出ないとヤバい、そして絶対にここには二度と戻らない。

今日からでもどこでも良いからホテルに泊まろうと決心して部屋を出る。


部屋から出れて少し安心したが、そのまま舘さんに呼び出された。



「昨日はよく眠れたかな?」

俺の寝不足の顔を見て少し元気が出たのか憔悴しきった顔に少し笑顔が見えた。


「えぇ、おかげさまで・・・。ですが、あの部屋での寝泊まりは今後ご遠慮させてください。」

精一杯の強がりを言ってみようと思ったがやめて素直に降参した。


「そうか・・・、君の為にいつでもあの部屋を使えるよう開けておこうと思ったんだが不要のようだったね。ところで昨日話をしていた君を試す件だが明日にでも行ってもらうよ。」



「結構どころか、かなり急ですね。断っても良いなら断りたいです。」

絶対に断らせない気がした。が少しの希望を込めて聞いてみた。



「結論から言うと断れない。私も無理にお願いして押し込んでもらう形にしたんだ。行ってきてくれ。」


その希望ははかなく消えてしまったようだ・・・。


「ところで、どこにいつ行くんですか?」


「今日、今から移動してくれ。」


「えっ?今ですか?」


「何も心配いらないよ。もう手配は済んでるし美麗のことは私に任しておきなさい。」


「ちょ、待っ・・・。」

半分放心状態のまま、半無理やり車に乗せられ、ドヤ顔の舘さんと寂しそうな美麗ちゃんに見送られて俺は強制搬送されたのだった。


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