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脱サラリーマンの冒険記  作者: 団子 虫
第三章 イノシシ編
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ヘビ編 第12階層

久々の連続更新です。

リンさんを預けてそのままダンジョン攻略も終わらせた。

1日動きっぱなしだったがピュア(ぜんら)のままならまったく疲れ知らずだった。



しかし、更衣室で着替えた。

その瞬間、膝が折れしゃがんだ。疲労が一気にきた。

そのまま倒れて寝そうになったが、ヨタヨタと近場のホテルまでなんとか歩いてその日はそのまま寝た。



****


着信音で目が覚めた。

ミレイちゃんかと思ったが、ミレイちゃんのお父さん舘さんからであった。

とりあえずの依頼の手続きをしたいとの事で呼び出された。


どうやら丸1日寝ていたようで外へ出ると既に夕方だった。

ホテルはそのまま連泊する事にして、病院へ向かう。



受付から毎回来ても病院が大きすぎて医院長室までの道を覚えられない。


医院長室へは俺だけ入り受付の方は戻っていった。

「江崎君、今回は大変ご苦労だったね。」

にこにことして満足そうな舘さん。


「えぇ、大変でしたがなんとか攻略できました。」


「1人でしかも、たった数日で攻略するなんてね素晴らしいの一言だ。色々と話は聞いているよ、あのホスト崩れの勇者にお灸を添えたというのも個人的にはすっきりしたものだ。」


「あれは色々とありまして正当防衛だと思ってます。」



「まあ、そこら辺は私の方でなんとかしておいたから大丈夫だろう。彼はあれでも勇者でこの国では重宝されているからね。さて、そろそろ本題に入ろうかね。今日は美麗との婚約の手続きをして、明日に破棄の手続き行おう。同日に行えないのが不満だがしかたない。」



その日は、事務手続きをして婚約破棄をして成功報酬の一億円が手に入ることになった。


書類には名前とサイン、拇印を押すだけの簡単な内容だった。

終わった後は受付の方に出口まで案内してもらう。

この人ずーっと扉の前で待っていたのか?と申し訳なさと少し違和感を感じながら病院を後にする。



病院から駅までの間でミレイちゃんから着信があった。



明日の朝少しだけ時間が欲しいとの事だった。

ミレイちゃんの声がいつもより真剣な風に感じとれた。まさかとは思うが今回の件知っているのだろうか・・・。



少しモヤモヤした気持ちでホテルに向かう。



コンビニで簡単に夕食を買ってホテルへ戻る。


最近物価が上がっているのか、コンビニだけでなく道中至る所で値上げの文字を見る。

ダンジョンの発生で一般人にも少なくない影響が出ているようだ。


事実ダンジョンが出てから数年ほど経過している。

国はかなりの費用を注いで対応しているおかげで大きな混乱は今のところはない。しかし、一般人の生活が大きく豊かになったという訳では無い。

そんな事を叩く週刊誌の見出しもあったりした。


ニュースを流しながら、週刊誌を読みつつその日は寝るのが遅くなった。

モヤモヤした気持ちは晴れることなく眠りについた。


****


朝一にミレイちゃんとの待ち合わせ場所へ向かう。

いつもの喫茶店だ。


待ち合わせの時間より少し早かったが、すでにミレイちゃんがテーブルで待っていた。


簡単に挨拶をするがそれさえいつもよりぎこちない表情のミレイちゃん。


流れる沈黙


「ミレイちゃん、どうかしました?」

女性相手だと情けないなと思いながらも耐えきれず聞いてしまう俺。


「ケンさんは?この後私のお父さんに会うんですよね?」



いきなりの直球で固まってしまった。



伊達に30年生きていない。

俺の思い違いでなければ、ミレイちゃんの気持ちは嬉しい。こんな美少女がこんな俺に好意を抱くことはこの先は無いだろう・・・。

ただ、なんて答えるべきかは分からない。気持ちを素直に言ってしまえば楽かもしれない。



俺は黙ったまま、頷くしか出来なかった。



「少し長い話になりますが・・・。」

そう前置きしてミレイちゃんから色々な事を聞いた。


ミレイちゃんのお父さんは国直属のダンジョンの研究にも携わっておりその責任者となっている。

その中でダンジョンへの適性は先天的な物が大きい事が分かり、一般応募から適性のある人を選んで今攻略を行っているのはおもてであり、その裏では適性の高い遺伝子の情報を集めて研究をしているのだそうだ。


それと、適性の高い遺伝子同士での子供を育てて他国よりもダンジョン攻略を進めようとしている動きがあり、その候補にミレイちゃんも含まれている。


という事。

そんな話を俺にして良いのか疑わしいが、ここは黙って聞いておこう。



「今までは来る限りお父さんが守ってくれてましたが、今回は国からの圧力もあって守り切れずこのような事になってしまった。」



「なるほど・・・。」



「お父さんは出来れば私を巻き込みたくないのも知っています。そして、私の婚約者は拳さんで今日はその結婚破棄の手続きをこれからする予定だということも知っています。」



ミレイちゃんは全て知っているのか・・・、

まあ、俺が後悔するしないは別の話だけど知らないでくれたら楽だったのに・・・。




「でしたら・・・。」



これ以上は、もうミレイちゃんに言わせるのは男として失格だろうと思い、話を区切る。

「これから行くのでミレイちゃんも一緒に行きましょう。」



喫茶店での話はここまでにして二人でミレイちゃんのお父さん、依頼主の所に行くとしよう。


喫茶店から医院長室までの移動中、黙ってしまったミレイちゃん。

気が利く言葉が出ればいいのだが、女性にもこんな状況にも慣れていない俺のようなおっさんでは正直厳しいというか完全に無理だ・・・。


これらからの事を考えようとしても考えもまとまらない。

沈黙のまま、何とも言えない時間の中移動する。


最近は敵意といった感情しかぶつけられてこなかったけど、好意を持たれるのは悪くはないな、しかもこんな美少女に持ってもらえるなんて奇跡に近いというか奇跡だろう。


彼女の好意に甘えて良いのだろうか、こんなおっさんと今後一緒にいても彼女の為になるのだろうか。


最終的には自分がどうしたいのか?が需要だとは分かって入る。

分かっているが、モヤモヤした気持ちのまま医院長室へ入る。



「そうか・・・。まあ、良い。二人とも座ってくれ。」

何か言いたげな表情を見せたが言葉を飲み込んで、俺らを座らせた舘さん。


心配そうな表情でミレイちゃんが俺の表情を見る。舘さんをそれを心配そうに見たあと俺に冷たい眼差しで書類を手渡す。


「では、江崎くん早速ここにサインしてもらおうか。」


ミレイちゃんを見る。

顔も可愛いし、性格も良い。

おっさんがこんな子に好意を持ってもらった時点で奇跡だ。好意を踏みにじる事あ俺にはできない。


ここは俺のわがままを突き通す。



深く深呼吸をして覚悟を決め。



「申し訳ありませんがサインはできません。婚約したままでお願いします。」



笑顔で泣く美麗ちゃん。


先ほどの冷たい眼差しから、金剛力士像のような憤怒の顔になっていく舘さん。


流れに乗ったつもりだったがどうやら何かを間違えたらしい。それでもミレイちゃんが笑顔ならそれでいいか・・・。

このカオスな状況をどうしたらいいのか、今の俺には答えは出なかった。




読んで頂きありがとうございます。引き続きご支援よろしくお願いいたします。

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