ヘビ編 第10階層
読んでいただきありがとうございます。
二人の方へ向かって走る。
チャラ男から火の玉がリンさんへ向かって放たれようとしている。
間に合えと走る。
身体がボロボロのはずなのに、いつもよりも強く風を感じる。
周辺の風景が流れる感覚も速く感じる。
それにあれだけ魔法を受けたにもかかわらず、既に身体から痛みを感じない。
マスクのお陰なのか?
ん?
そう思ったらマスクも無くなっていた。
あ、私はピュアになっていた。
「ウォォーーーー」
叫びながら走る。
一歩、その一歩がスローモーションのように感じる。
ギリギリ間に合った。
リンさんを抱きかかえ、一緒に火の玉から避ける。
「リンさん、大丈夫ですか?」
リンさんは既に気を失っているようで返事はなかったが呼吸はしていた。
ゆっくりと地面に下ろしチャラ男と対峙する。
「マジかよ!?ほんと笑えるぜ、全裸になった方が強いとかネタじゃん。腹いてぇー。」
「女性に手荒い真似をするなんて漢の風上にも置けん。紳士として許せん。」
「ちょ、何言ってんの?この変態。お前の方が有害だから!?まあ、ここで消えるのは変わらないけどね。」
また、火の玉を出すチャラ男。
手を掲げると数メートルはあるのか、火の玉はチャラ男の頭上でどんどんと巨大になっていく。
そしてすべの火の玉が私に向かってくる。
私は声を上げながらチャラ男に向かって走り出す。
「ウォォーーーー」
なんて遅いんだ。
以前よりも頭が冴え、身体も動く。しかも相手の動きがゆっくりに感じる。
火の玉躱しつつ、チャラ男に向かう。
「クソがーーっ!気持ち悪い動きで避けやがって!!」
チャラ男が少し変わった構えをする。
何やら呪文を唱え、炎の大蛇が現れた。
炎の大蛇は大きな口を広げ私に向かってくる。
構わず、突っ込む。
恐怖はない、説明できないが脅威も感じない。
迷わず突っ込む。
炎で視界が見えない。ただ、そのまままっすぐ走る。
「変態でしかもバカだな!消し炭になったか・・・、ビビらせやがって。
(火がもしくは技が)消えるにはまだ早すぎる。ま・・・、まさか・・・。」
「ウォォーーー!!!」
炎を超え、突進する。
目の前にはチャラ男がいた。
出会い頭にチャラ男に向かって拳を振るう。
顔面目掛けて、全力をこの一撃にのせる。
鼻を潰す感覚、前歯もへし折れ飛び散り、顔面が陥没して後方に吹き飛ばす。
流石、勇者だな、モンスターと違って木っ端みじんにならないのか、思ったよりかは中々タフだ。
遠くに吹き飛んでいくチャラ男、まあ運が良ければ生きているだろう。
さて、可憐なレディーを担いで帰るとするか。
装備を全て失った。
でも、その足取りは軽く、まっすぐ前だけを見て歩くのだった。
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