ヘビ編 第9階層
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俺は気が付いたら、自分の家にいた。
サラリーマン時代に住んでいたアパートだ。
8畳ほどの広さにベットとTV、パソコン程度の必要最低限の家具しかない部屋。
会社とアパートの往復だった。今もダンジョンとホテルの往復だからあんまり変わらないな。
ふっ、と1人で笑いベットに腰を下ろす。
ふと気が付くと目の前に目付きの悪い小さな子供が立っている。俺が立っている。
あぁ、小さい頃の俺だ。
こんな時に小さいころから目付きが悪かったと再確認した・・・。
自分で自分をみるのもおかし、ここはどこかなまあ以後ごちは悪くない。
これは夢か死後の世界なのか分からない・・・。
サラリーマンの時も、上司・部下に手柄を取られ、理不尽な責任を取らされた事もあった。
でもきっと最後には報われると思っていた。でも、現実はそんな甘くはない。
いつの時代も形は違えど強い奴が得をするようになっている。
『強さってなに?』
そんな風につぶやかれた気がした。
両親が事故で無くなった時に俺だけが運よく生き残った。
施設に送られたが、目付きが悪いといじめも受けたりもした。
でも、めげずにバイトをしつつ大学に通い無事に卒業して普通の企業に入って普通に生活していた。
『普通ってなに?』
まただ、つぶやきが聞こえた。
両親がいた時は小学生だったが、この時は楽しかった。
過去の思い出は美化されるものだが一番幸せだったのかもしれない。
恵まれた家庭だったかは分からないが、両親に愛されていたのだろうと実感できていた時だ。
『愛ってなに?』
答える事もなく目の前の子供が消えた。
ただ、ぼーっと考える。
「強さ」とは、今のご時世だとすれば、狡賢い奴、権力・地位、金だろう。
『くだらないね。』
「普通」とは、世間一般に溶け込んで目立たない事、人と違う意見を持たない事だろうか。
『くだらないね。』
愛とは、相手を思いやる事、自己犠牲か・・・。
『くだらないね。』
そうだ、くだらないな・・・。
くだらない事が多い。大体の事はくだらないと、ふと再確認した。
じゃあ、そんなくだらない世界で俺はどうしたいのか。
『好きなように生きればいいじゃないか』
目の前には、小さい頃の俺と当時の両親が両脇に立っていた。
「思うまま生きても良いのかな・・・。」ふと呟いた。
目の前の三人はただ微笑んでいる。
返事はもらえなかったが、そのほほえみが答えになった。
あぁ、なんだろうか、良くは分からないが力が湧いてくる。
拳を固める。自分の思いのまま、思うように生きる。単純な事だけど難しい世の中だ。
我儘に、あるがままに生きる。
たとえ難しくても、突き通してみせる。
そう決意を固めた時目が覚めた。
目の前が真っ暗だった。
どうやらうつ伏せに倒れていたようだ、顔も身体もほとんど地面に埋もれた状態だった。
上半身を起こし、周りを見渡す。
チャラ男がリンさんに向かって魔法を放とうとしている。
考える事も無く、身体が勝手に動いた。
二人の方へ向かって走る。
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