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夜明け

作者: 七瀬 海亜



わたしの生命線は とても短くて 細い



だからいっそ


消えてしまえと 腕を言葉のナイフで傷つける



誰か助けて これ以上誰も嫌いたくないよ



ここから出して 息が詰まりそう



街は今日も 都会の喧騒に吐息と一緒に溶けていく


今頃私も世界の中で踊らされ まんまと騙され眠りにつく



それでいいの ただそれだけ


あわよくばこのまま踏切へ


永遠に この場所で笑っていたかった


記憶の中で 私が手を振っている


幸せね 殺したいほど



貴方も分かるでしょ? 理解ってほしかった


時々わからなくなる 深い呼吸の仕方


貴方がどうしても忘れられない




かつての恋人だって 名前すら思い出せなくて


また香りだけが鼻を痛めつける



手元にあるものなんて ナイフと拗らせた私の心だけ


もういいでしょう? 早く出して



まだ足りない? 私が死んでしまう



全てに追われ続けていくんだろう


自分の心を騙し合いながら


愛と哀の間でもがきながら



それぞれの手のひらをうまく返しながら 


何度泣いても 私の心を刺しても


何度も自分を見損なっても


笑顔を貼り付けたまま




何度も苦しんで 死にたくて それでも夜は明けるなんて



やめてよ 泣きたくなる




喧騒と共に 貴方の姿が消える



空も何もかもが藍に染まっていく


変われないわたしだけを残して




蜃気楼のような幻と共に





まだ? 足りない?





もう限界よ ここから出して





・・・・そうね



出たくないと望んだのは 私だった






















夜が明ける


貴方の香りだけ残したまま

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