朝昼夜の起
起。
俺の名前は、光リエ(ヒカル・リエ)。女の名前だが、れっきとした男である。
「女の子が欲しかった!? 男の子が生まれたら、男の子の名前をつけやがれ! 小さい頃から、「リエちゃん? え!? 女の子と思った!」とか、好きな女の子に告白をしては、「私、女の子の名前の人とは付き合えません!」とか、そんなことばかりだ!? 俺の人生で楽しいことなんて、やって来ないんだ!」
と、思いつめ、学校の屋上から飛び降り自殺を図ったのだが、不幸な俺は死ぬことすら許されなかった。そんな俺の前に、レンタル福の神という、偉そうなでキチガイな女が現れ、不幸を幸福に変えるという。俺は、福の神に憑りつかれてしまった。
承。
「ふぁ~あ。」
朝、目が覚める。
「な、なに!?」
俺の寝ていた布団に、パジャマ姿の福の神の女が寝ていた。頭には、ぼんぼりのついた三角形のナイトキャップを被っていた。
「ふぁ~あ。」
福の神が寝ぼけながら目を覚ました。
「なぜ、ここで寝ている!?」
「なぜ? 私は貴様に憑りついているんだ、側にいないと不幸から貴様を守れないだろう? ふぁ~あ。」
「だ、だからといって、同じ布団で寝ることはないだろう!?」
「気にするな、私は福の神だ。ハハハ。」
転。
「俺は今から着替えるから、こっちを見るなよ。」
「恥ずかしいのか? 女みたいな奴だな。」
「うるさい!」
俺は、パジャマを脱ぎ、制服に着替えた。そして、あることに気がついて、ニヤっとした。
「福の神、おまえは着替えないのか?」
「はぁはぁん、貴様、私がパジャマを脱いで、裸になる所が見たいんだな? スケベな奴だな。」
「だ、誰もそんなことは言ってないぞ!」
「必死に否定する所が図星なんだな。」
「エヘ。」
決して、俺は見たいとは言っていないが、ジッと福の神を見つめている。
結。
「仕方ないな。」
「おお!」
福の神は、パジャマのボタンを外し始めた。俺は思わず前のめりになる。
「できた。着替え完了。」
「ズコー!」
一瞬でパジャマ姿から、普段着に切り替わった。
「残念でした。」
「ひ、卑怯だぞ!」
「福の神だから、いいのだ。」
「読者サービスを期待しているファンを裏切る行為だ!」
「そんなもん知るか。なぜ裸を見せなければいけない。」
「ケッ、イチゴのパンツのくせに。」
「残念でした。今日は、クマちゃんパンティーだ。」
「クマちゃんパンティー・・・見たい!」
「誰が見せるか、バ~カ。早くしないと学校に遅れるぞ! 不幸なオカマ。」
「オカマって言うな!」
「オカマ、貴様、オカマ、貴様。」
「ふざけるな!」
「キャハハハハ。」
俺と福の神の共同生活の朝だった。
つづく。