第1話:遭遇
俺は何が起きたのか理解出来ず立ち尽くした。
コンビニの帰りに不良から女の子を助けようとしてカッターで刺され、意識を失って気がついたら草原のど真ん中…うん、わからん。
女の子と人生をやり直すとかの話をしたのは覚えている。覚えているがまさか本当に…?
とりあえずつねってみると痛みはある。
となると現実か?
だが、目が覚めたらいきなり知らない場所とかどうしたらいいんだ。
辺りを見回すと左手に町が見える。少し遠いが城みたいなのも見える。
本当に現実かと疑うが、そういえば意識を失う前に女の子は異世界だとか町へ行けと言っていた。あとなんかアリストテレスみたいな。
とにかく情報が欲しい。俺はとりあえず持ち物を確認してみた。
「スマホとソーラー充電器とコンビニ袋か…。中身は買ったときのままだな。」
もちろん携帯は圏外だ。使えないな。
「ここに突っ立っててもなんもねぇな。」
俺はとりあえず女の子の言葉を信じて町へ向かった。
町へ向かっていると鋪装された道があった。
どうやら街道のようだ。
これに沿って行けば町まで行けるだろう。
「しかし誰もいねぇな。どっかで動物の鳴き声みたいなのは聞こえてくるけど見えねぇしな…。」
俺は辺りを見回しながら周囲を見ていると町の近くまできて街道の先に1人小さな人が立っていた。
おっ!初めての人だ。ここらへんのこととかいろいろ教えて貰おう。親切な人だといいなとか、異世界で日本語は通じるのか?とか考えながら
「すいません」
と声をかけた。その人は振り向くといきなり俺に襲いかかってきた。
俺は驚いたがなんとか避け、ちょっと待ってと言おうとしたがどうやら話は通じないらしい…。
向こうは手にした棍棒を再び振り上げていた。
「無抵抗の相手に襲いかかるとかマジかよ!なんなんだこいつ!」
俺は素手で相手は武器を持っている。武器無しでは部が悪い…。だが幸い町まであと少しというところだ。町の人には悪いが町まで逃げて何とかしてもらおう。そう思い立ち俺は町までダッシュ。
当然敵もついてくる。
だが、町の入り口もすぐそこだ。兵士の人が立っているのを見つけ助けを求めた。
「すいません!助けてください!追われてるんです!」
兵士の人もそれに気付き、とても不思議そうに俺を見たあとで後ろの敵を見て、首をかしげながら
「フレイム」
と唱えた。
すると後ろの敵が断末魔を叫びながら燃え上がり、塵となった…。
俺は呆然としていた。今この人は何をしたのか、てかあいつ塵となったけど…。などと考えていると兵士の人が俺に向き直り
「君はその歳でまだ初級魔法も使えないのかい?君くらいの歳の子ならゴブリンくらい朝飯前だろうに」
「は、はいそうなんですよ。僕まだ魔法がうまく使えなくて困ってたんですよ。ありがとうございます…。」
と取り繕って答えながらさっき見た光景を思いだし、俺はこの世界は前いた世界とは違うんだと確信した…。




