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第11話:新たな土地、新たな敵



早朝、いつも通り目を覚ました俺はずっと繋いでた手を相手を起こさない様にゆっくり離してベッドから出る。

「ん…んん…ユーキ?朝のトレーニングですか?」

「悪いアスティ、起こしちゃったか?」

「いいえ、大丈夫ですよ。私もお昼のお弁当の準備がありますし。」

「そっか…ありがとう。それじゃあ行ってくる。」

「はい、いってらっしゃい。」

そうして俺はいつも通りの鍛練に出かけた。



ーー鍛練を終え宿に帰ると、丁度アスティがキッチンから包みを持って出てきた所にバッタリ出くわした。

「おかえりなさい。そろそろかと思って朝御飯頼んでおきましたよ。」

「ありがとう。それじゃあ俺は先に汗を流してくるよ。」

「そしたら私は朝御飯を並べときますね。」

「ああ、頼むよ。」

俺は少し熱めのシャワーを浴びながらなんだか新婚みたいでいいな…。と気の早い事を考えていた。



ーー俺が汗を流し終わると丁度朝食が並べられた所だった。

「それじゃあ食べようか。」

「はい。」

俺達は食事を済ませるといつもはすぐにギルドでクエストを受注して外に出るが、今日は違った。

昨日壊れてしまった木刀の代わりを買わないと俺の武器が無いからだ。

幸い、これまでのクエストの報酬などで充分にEは貯まっていて、2人合わせるともう少しで10000Eに届く所だ。

「新しい剣はどういった物にするんですか?」

「そうだな…やっぱりもう少し丈夫な物がいいな。木製だとやっぱり脆いし…。」

俺は腰に差してる折れた木刀を見る。

なぜ未だにこんなものを持ってるかと言うと、それは朝飯を食べた後外に出るまでのことだーーー


朝食を下げてもらい出かける仕度をしていると

「そういえばユーキ、昨日のあの光る剣は何の魔法ですか?」

「そういえば全く無意識に使ってたから何であれが使えたかわからないままだったな…。一度ステータスパッドで確認してみるか。」

俺は自分のステータスパッドを取りだし更新を押す



一ノ瀬悠希:32 人間族

体力:295

攻撃:240

防御:238

俊敏:203


魔法適性

火:1

水:1

風:1

土:1

光:5

闇:5


スキル

『気新流』

『無属性魔法』



となっていた

「レベルが2上がってステータスが上がってるな。アスティ、このレベルとか体力とかが光ってるのは?」

それは何故かレベル、体力等の各ステータス、そしてスキル2つが光っていたからだ。

「それは更新したことで増えた、あるいは変わった事を示すんです。」

「なるほど、そしたら俺のスキルが何か変わったってことか。」

俺は先ず気新流を選択すると


功式壱ノ型『疾風(はやて)』:構えからの高速の斬撃。

功式弐ノ型『閃牙(せんが)』:一瞬で踏み込んで突く。

功式参ノ型『双刃(そうじん)』:刀と鞘もしくは刀との二刀で戦う。


となっていた。攻式の型は昔から得意で、逆に防式は苦手だった。だからここにも表示されないのだろう。

「さて、あとは…。」

残りは前回書いてある内容が何のことかわからなかった無属性魔法のみだ

それをタッチして開くと


『無属性魔法』:他のどの魔法よりも精霊体に優位に働く。また他のどの魔法とも合わせて使える万能魔法

~レシピ~

無属性+光=光子剣(フォトンソード):全ての魔法効果を無効化する。ただし剣身からは発動出来ない。


「なるほど…。つまり無属性魔法が光属性魔法と合わさって発動した魔法で、俺だけの魔法ってことか…。てか効果すごいな。」

「剣身からは出来ないってことは普通の剣じゃなくてこの木刀みたいに先が無い物とかじゃないと使えないってことですかね?」

「多分そういうことだろうな。」

俺は試しに木刀を握ってフォトンソードと唱えると、木刀の先からあのときの剣が現れたーー


と、こんなやり取りがあり今武具屋の前で

「それでもやっぱりメイン武器が木刀ってのはな…。しっくりくるんだけどいざって時に何かあったら困るし…。一応武具屋に相談してみるか。」

「そうですね。なかっても頼めばその部分だけとかで作ってくれるんじゃないですか?」

「そうだな少し相談してみよう。すいません。」

「はいはいなんでしょう。」

俺が呼ぶと店主はすぐに出てきた。

「すいません、変なお願いをするんですが刀の持ち手の部分だけとかって作ってもらうことは可能ですか?」

「はい?」

流石にこんな事を聞かれたのは初めてなんだろう。店主が何を言ってるんだこいつはみたいな目で見てくる。

「説明するより見せた方が早いですね。店主、ちょっと着いてきてくれ。」

俺は店の奥に行って他に誰も居ないことを確認すると(あまりこういうユニークスキルは人に見せない方がいいとアスティが言っていた)折れた木刀を取りだしフォトンソードを出した。

「んなっ!?」

店主が目を見開いて俺の剣を見ている。

「見てもらった通り、これが俺の武器なんだが、こいつはどうも刀身のある武器では使えないらしくてな。だから刀の付いてない刀、持ち手の部分だけの刀が欲しいんだ。」

「な、なるほど…。そういった事情でしたか、失礼しました。しかしうちも武器の作成はしてなくてあくまで卸売りなので私にはなんとも言えません。ですから私の取引先の職人を紹介させていただきますので、そちらに聞いてみてください。私の方から事情等の説明はさせていただきますので。」

「そうか、ありがとう。」

「はい、それでは少しお待ちください。」


そう言って店主は奥に行って帰ってきた時に手紙を持っており、この手紙を町外れの職人のとこで渡せば話が通じると教えてくれた。

俺達は礼を行って早速その職人のとこに向かった。

店からは少し距離があったが、幸い店主の分かりやすい地図のお陰でその場所はすぐ見つかった。

「『マシュー工房』ここか。」

俺達は早速扉をノックして中に入ると中では1人の人が刀を打ってる所だった。

「今忙しい、もうちょっとそこで待っててくれ。」

「はい、分かりました。」

俺達はしばらく刀が出来上がっていく光景をじっと見て過ごした。


ー数分後ー

「よし。で、お前さんたち見ない顔だな。要件はなんだ?」

「はい、町の武具屋の店主の紹介で武器の作成をお願いしに来ました。店主からこれを渡せと預かってます。」

俺は手紙を渡し、マシューがそれを読み終えると俺を値踏みするように見てきた。

「ほぅ…お前がそんな魔法を…。」

厳密には魔法かスキルかわからないが訂正はややこしくなるからしない。

「はい。お見せしましょうか?」

「頼む。」

俺はまた木刀を取りだしフォトンソードを発動させる。

「おぉ!読んだ通り見たこともないな。それでこれは刀身がある武器からは出せないのか?」

「はい。ステータスパッドの説明に書いてあったので。」

「なるほどな…。そういうことならわかった。俺がその武器作ってやろう。」

「本当ですか!ありがとうございます。」

「ありがとうございます。それでその、いくらぐらいしますかね?やっぱりオーダーメイドなのである程度しますよね?」

そうだ、それが問題だ。一応10000Eくらいはあるがそれを全部使ってしまうと生活に支障が出てしまう。

「いや、持ち手部分だけの作成ならそんなにしねぇよ。時間とEがかかるのは刀部分だからな。これならそうだな……1500Eもあればある程度丈夫に出来るぜ。」

「そうですか。ありがとうございます。それじゃあそれをお願いします。」

「了解。そしたら今日中に作っとくからまた明日取りに来てくれ。」

「はい。それでは失礼します。」



こうして武器の依頼を済ませた俺達はいつもより大分遅れて昼近くになってからやっとギルドまで戻ってきた。

「そしたらまたいつものようにビッグボアと薬草かな。」

「そうですね。今日はそんなに時間を取れないですし。」

俺達はいつもより少し少ない依頼を持って受付にいくと

「あら?昨日は気づかなかったけどあなた達Eランクに上がってるわよ。それでもクエストはこのままでいい?」

「え、そうなんですか?昨日上がってたのかな。」

いつの間にかFランクからEランクに上がっていたようだ。

「ランクアップの条件としてはクエストをある程度回数こなす、ギルドにランクアップするに相応しいと思われる行動をとる、あとはクエストに関係なく格上の敵相手に戦い勝利するってとこだけどあなた達まだ1週間かそこらでしょ?何かあった?」

俺は格上の敵と聞いて昨日のあいつ、ドナヒューだったか?と、その手下達との連戦を思い出した。

「あ~…。確かに何かあったかと言われればありましたね…。」

アスティの方を向くとアスティも同じことを考えてるのか苦笑いだった。

「まあそんなことはどうでもいいんです。そしたらEランクのクエストだとどんなものが受けられるんですか?」

「話を反らしたわね…。まあいいわ。Eランクのクエストは主に草原の奥の岩場に生息するロックリザードとフレアコンドルの討伐またはその肉や羽などのドロップアイテムの納品。それとそこで取れる鉄鉱石、火炎草の実の納品ね。鉄鉱石は採掘作業だからそれ用の道具も必要ね。火炎草はまぁ見たら一発でわかるわ。」

「そしたらとりあえずロックリザードの討伐と肉の納品、火炎草の実の納品に変更します。アスティもそれでいいかな?」

「はい、大丈夫ですよ。」

「それじゃあ……はい、受注しました。」

「よし、それじゃあ今日は出遅れてるし少し急ぎめで行くか。」

「はい。岩場はどうなってるのかわからないですし、向こうに行く前にいつもの場所で先にお昼を済ませちゃった方がいいですかね?」

「そうだな。そうしようか。それじゃあ行ってきます。」

「はい、いってらっしゃい。」

俺達は受付のお姉さんに別れを告げて新たなフィールドに向けて出発した。


道中、いつもの木陰で休憩をとってアスティの弁当に舌鼓を打ち、そこからはいつもの森に向かうルートとは違うフィールドの奥に、岩場の方に進むルートに進む。

「こっから先は初めてだからな油断せず慎重に行こう。」

「頼りにしてますよ。」

木陰から目的地の岩場までは歩いて15分程で着いた。そこから更に奥には高い山がそびえ、その麓に大小様々な岩が転がっているが、その岩の下にも山から落ちてきたのか小さな石や砂で埋め尽くされていて緑はほとんど見られない。

「すぐ向こうには草原が広がってるのに…こんなに変わるもんなんだな。」

俺が1人で呟いていると

「あ、ユーキ。あそこにいるのがロックリザードじゃないですか?」

アスティに呼ばれ、言われた方を向くとそこには確かにゴツゴツとした大蜥蜴が見えた。

「よし、隠れられるような場所はないけどバレないように回り込んで奇襲をかけよう。」

「はい。そしたら私は先制で水の魔法を撃って弱らせるんで、ユーキは止めをお願いします。」

「了解。それじゃあエンチャントをかけ終わったら行動開始だ。」

3種類のエンチャント後、俺達は息を殺してロックリザードの背後に回り込んだ。

「そしたら1、2の3の合図で魔法を撃ってくれ。それに合わせて俺も出る。それじゃあいくぞ…。1、2の3!」

「『アクアシュート!』」

アスティの手から勢いよく水が噴出され、油断していたロックリザードの背中に命中する。

俺はアスティが魔法を発動すると同時に走りだし、フォトンソードを発動、一気に距離を詰める。

水の勢いが次第に弱まっていくのを見計らって俺は剣を構え

「攻式壱ノ型『疾……」

俺の攻撃は思いもよらない形で阻害された。

なぜなら水の勢いが弱まるとそこにはロックリザードの姿はなく、ドロップアイテムの肉だけが落ちていたからだ…。

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