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「ホワイトノイズ」「朝の気配」
「ホワイトノイズ」
何時だって
私には
明日だけは
分かる
そして
今日と
昨日の
違いがない
それは
いつの間にか
滑らかに
穏やかに
越えている
薫りの消えるように
夕陽の沈むように
面影の消えるように
静かに
音もなく
挨拶もなく
だから
ふと
横を向いていたら
気が付かない
あなたの昨日
わたしの明日
どこかにある
緑の公園の
途切れた芝生の
誰もいない
ブランコのように
いないはずの気配
ホワイトノイズに
紛れて
繋がりますように
「朝の気配」
毎日朝日を見た
新聞配達をした
毎日鶴橋駅の下で
コリアンタウンの近くで
毎日饂飩を食べた
在日のおばちゃんに呼ばれて
毎日詩を読んだ
分かりもしないのに背伸びして
毎日鯖を読んだ
夜明け前の夜空に
薄暗い商店街で
ドイツの詩人の綺麗な詩は
イタチと追いかけっこしていた
届いていますか。
着想は、そこここにあり、容易に外出を許さない。