16/20
「風景」「いぬ」
14.12.30 いぬ 推敲(最後の節)
「風景」
橋の下を川がさらさら流れる
浅い川底に落ち葉が一枚ある
少し動いている
回りながら黄色い色を見せて
裏返りながら薄茶赤の色を見せて
水の中で流れて
止まる
またくるりと返って
流れて
止まる
川面に映る灌木の影は
宇宙人の触手のように
ゆらゆら形無くゆれる
カラスが一声だけ鳴く
だからどうしたということのない
私と
川と
落ち葉と
灌木と
カラスと
今日と
冬
「いぬ」
いぬが
ないている
しわがれたような
はぜたような
ひびくような
きえるような
こえで
よんでいる
いっぴきで
ふゆのにわで
だれかを
まっている
きかれていることも
しらず
ときに
やすみ
だまり
また
みじかく
なく
あの
いぬは
まつことが
しあわせの
すべてだ
まち
むかえ
なき
そうやって
しあわせに
しんでしまうだろう
いぬのたましいは
空にのぼり
どこか遠くの
雪雲のなかで
雪になり
風にのって
白い山へと降ってきて
樹氷の端っこにしがみつき
今度は
やがてくる
春を迎えようと
びょうびょうと吹く
氷の風に紛れて
なく




