ニンゲンの光
あの人とわたしのあいだに
ちらちらと燃えていて
のぞきこむ私たちの顔も温かく染めた
あの熱い思いは今は静まってしまって
曲がり角でお別れをするときにも
ただ手を振るばかりで
お互いの顔も見ないで
せなかを見せて去っていこうとしている
でも本当は別れがたい思いがあって
あの人のそしてわたしの背中どうしに憑いている
魂の先がのびて のびて そうして
どこまでも幽けくなった魂の先に
静かな光が宿っている
ふたりの思いの結晶が
蛍の光よりもずっと弱い小さい光になって
こんなにも離れてしまった
あの人とわたしのちょうど真ん中に
長い暗い夜のあいだずっと消えずに
灯っている光は
わたしがあの人を思うときには青く光る
あの人がわたしを思うときには赤く光る
お互いがお互いを思うときには強く青く赤く交互に光る
まるで光と光が抱き合って
くるくると踊っているように
強く輝きながら光っている
よくみれば
この町のあちらこちらで
おなじような光が灯る
青い光が
赤い光が
そして
青と赤の光が交互に輝いている
こんなに暗い世の中でも
こんな輝きが生きている
やがて夜が明ければ
だれかを思う光は渦になって
東の空に飛んでいき
暁の光になって
まっすぐにニンゲンの間を照らし出す
そのとき 私はまだ寝ているだろう
あの人もまだ寝ているだろう
寝ている夢の中で
あの明るい光が躍る
わたしは願う
そういうことで明日が迎えられますように
誰かを思って眠りにつきますように
誰かに思われて目覚めますように
柔らかで強靭な優しさを大切にしますように
華やかな香りに満ちた知性を見失ないませんように
厳かな響きと仄かな光に包まれて人生が続きますように
そして
あなたの一番大切な人が
あなたのことを大切に思っていることを
暖かな光の中で感じることができますように




