光速を求める敵:怪しい影
武器を買った日から、二日が経過した。
昨日は武器の受け渡しと支払いを終わらせた後、店が立ち並ぶエリアで強盗があったらしく、それの犯人狩りをしているうちに朝になってしまった。
少しだけ仮眠を取り、昨日買ってきた携帯型食糧を食べると、買ったばかりのレーザーライフルを組み立て始めた。
それを始めた矢先、コンコンコン、と入り口の扉がノックされた。
「誰かいるか?」
「……いますよ」
溜息を吐く。組み立て途中のレーザーライフルを机の上に置くと、ポケットにレーザーハンドガンを隠し、扉に近づいた。
「とにかく開けてくれないか?」
「分かりました」
彩夏は知っている。
これは新手の強盗であると。
「引っかかったな!」
ドアを開けた瞬間、銃を持った敵が入ろうとしてきた。
だが、彩夏は面倒くさそうな顔をすると、ポケットに忍ばせておいたレーザーハンドガンを抜き、躊躇わずに撃った。
音もなく撃ち抜かれた敵は、その場で崩れ落ちた。
「全く、面倒な奴ばっか」
そう言って、彩夏は隣の小屋の扉をノックした。
◆◇◆◇◆
「不審者?」
「そうだ」
「強盗とか殺しは日常茶飯事でしょ。言っちゃ悪いけど」
「確かにそうだな」
彩夏は、このスラム街を支配する自警団たちの集会に、半ば勝手に参加していた。
というのも、居場所が無くなり、訓練が出来なくなったからである。
「つか、誰だ。こんなガキここに連れ込んだのは。えぇ?」
「黙ってろ。お前はこいつの強さを知らないだけだ」
新入りなのか、彩夏を見てにやにやしている奴がいる。おそらく自分の方が上だとでも思っているのだろう。馬鹿馬鹿しいので放置する。
「おい、何か言ってみろよ」
カチャ、という嫌な音がする。
横を見れば、火薬型の拳銃を突き付けられていた。
流石に放置できない。彩夏はさり気なくポケットに手を突っ込み、レーザーハンドガンを抜く準備をした。
だが、彩夏が何かを言おうとする前に、銃声が聞こえた。
パァン!という音と共に、その新入りらしき男は倒れた。
「話を続けるぞ」
どうやら殺したようだ。
ここのボスである刈谷衝という男は、元極東軍第三師団第二防衛部隊に所属していた、防御特化型の機人だ。体格がいいのは、服の下にレーザー対策用の防護服を身につけているからだ。
彩夏とは二回ほど同じ戦場で戦った、いわば戦友だ。
「綾女、何か心当たりはあるか?」
衝には偽名で呼ぶように言ってある。彩夏は少し考え、先日あった出来事の一部をかいつまんで話した。
「……悪いこと聞いたな」
「いいよ。これが役に立つなら」
「分かった。全員聞いたか?俺たちは今から、周囲一帯の警戒レベルを最大まで引き上げる。これはここを守るだけではない。こいつのためでもある」
「いや、そんな大げさな……」
「相手の戦力は未知数だが、【決闘場】に追い込めば俺たちの勝ちだ。見つけたら全員に連絡して一斉に殺れ。くれぐれも一人で突撃するな」
全員が頷く。彩夏は色んな意味で泣きたくなったが、諦めることにした。
◆◇◆◇◆
「あーあ、警戒レベル上げちゃったみたいね」
黒い戦闘服の男と女が、彩夏たちがいる少し大きめの小屋のすぐそばで待機していた。
「……今更どう言っても仕方ない。とりあえず一週間様子を見て、それでも警戒レベルが下がらなかったら―――」
少し間を置いて、男はにやりと笑った。
「作戦開始だ」




