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全てが終結したこの世界で  作者: 兎鈴
1章 光速を求める敵
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光速を求める敵:武器商と少女

 二日ほど休眠状態だった彩夏が、ようやく目覚めた。

 とりあえず腹が減った、ということで、持ってきた戦闘用食糧を口の中に放り込み、水で流し込む。

 タッチパネル式の携帯端末を取り出し、電源を入れる。電池は体内で発生した余剰な電力を再利用している。

 こうして生活してみると、人間だった頃と大差ないように思える。

 ただ、住んでいる場所の治安に差があるだけで。


「動くな!食いもん寄越せ!」


 ドン!という音と共に、扉が蹴破られ、銃を持った敵がずかずかと入ってくる。銃は一昔前の、火薬式のライフルだ。この辺りでは、未だに火薬式のハンドガンやライフルが流通している。普通の機人なら、これでも十分倒せるからだ。

 だが、彩夏は違う。

 敵が引き金を引く瞬間、彩夏は内ポケットに入れていたレーザーハンドガンを抜き、撃った。

 光の速さで飛翔したレーザーが敵の眉間を射抜き、音もなくその敵は倒れた。


「おい、何事だ」


 隣人に住む厳つい男が、ガス式の対機人ショットガンを持ち、小屋に入ってきた。


「あ、姉御。戻ってたんですか」

「私は姉御じゃない。綾女あやめって呼んで」


 綾女、というのが、彩夏の偽名だった。


「分かりました綾女さん。こいつは軍に処理してもらうので、持っていきますね」

「助かる」

「いいですって、こっちも色々助けられてますから」


 笑顔で機人の死体を持ち上げた男は、そのまま外へ出ていって、出入り口前で止まった。


「姉御、この後ドアの修理しておきますよ!」

「だから姉御じゃないって」


 溜息を吐いた彩夏だったが、少し気持ちが楽になった。


◆◇◆◇◆


 扉を直してもらっている間に、彩夏は武器商がいる小屋に行った。


「誰だ」

「私よ」

「おぉ。これは珍しいお客さんだ。そこの椅子に座ってくださいな」


 これまた厳つい、しかし、声に少し丸みを帯びたような印象の男が、武器商だった。

 武器は基本的に、軍が製造し、軍の中でしか使われていない。

 しかし第四次世界大戦終結後、様々な武器が流出し、本来持つ必要のない機人たちまでもが武装し始め、殺し合いを始めた。

 カウンターの前にある椅子に座った彩夏を見て、武器商は話しかけた。


「今日はどんな武器をお探しで?」

「八七式の特殊加工弾一式と、レーザーライフル一挺。それと対物ハンドガン、パルスグレネード十個。ライフルとハンドガンは弾がそれぞれマガジン二十個分」

「随分多いですな。パルスグレネードと対物ハンドガンなら在庫があります。レーザーライフルは明日までに調達可能ですが、八七式の特殊加工弾に関しましては、炸裂式貫通弾が十発、閃光焼夷弾が二十発、超長距離狙撃用徹甲弾が五発のみとなります。それ以外は現在調達できません」

「分かった、それでいい。対物ハンドガンとパルスグレネードは今持って帰る」

「承知しました。少々お待ちを」


 武器商の男は、部屋の奥に入っていった。

 数分して、白いケースを二つ持ってきた武器商が戻ってきた。


「こちらが、M七四対物ハンドガンでございます。重量八キロ、装弾数は三発。火薬式で、弾薬は十二ミリ弾を使用。予備のマガジンはこちらに入っております」


 そして、カウンターの下から、よっこらせと取り出したのは、少し大きめの木箱だった。


「こちらは、極東軍標準装備のパルスグレネードでございます」


 木箱の中には、青い塗装が施されている缶のようなものが十個並んでいた。


「よし。代金は明日払えばいいな?」

「普段ならこの場で払うように言っているのですが、今回は特別に、明日まで待ちましょう」

「恩に着る」


 ケースを二つ、木箱の上に乗せると、その木箱を持ち上げ、武器商のいる小屋を後にした。

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